ヴェリー・ベスト・オブ・セルジオ・メンデスとブラジル’66
セルジオ・メンデス&ブラジル'66の1986年発売のベスト盤。
ジャズピアニストだったセルジオ・メンデスがボサノバの潮流に
加わり、やがて独自のポップス(ソフトロック路線)を構築する。
セルジオ・メンデス&ボサ・リオ・セクステットまでの流れである。
セルジオ・メンデス&ブラジル'66に至っては、ほぼその流れが
完成形に近づいており、ラリー・ホールのヴォーカルが生かされ
充実した完成度の高い女性ヴォーカルポップユニットに成長した。
そのセルジオ・メンデス&ブラジル'66から15曲、その後結成
(1971年)したセルジオ・メンデス&ブラジル'77から1曲を
ピックアップして作られたのが本作である。
ジョルジ・ベンの有名曲「マシュ・ケ・ナダ」に始まり、アントニオ
アドルフォやアントニオ・カルロス・ジョビン、ドリヴァル・カイミ
の長男のドリヴァル・テトラス・カイミといったブラジル勢の曲。
サイモン&ガーファンクルやビートルズといったポップ/ロック勢、
更にはバート・バカラックやミシェル・ルグランといったイージー・
リスニングの曲まで幅広い曲を網羅した本作は、陳腐な表現だが、
正に音の玉手箱といった装い。
これだけのジャンルの曲を薬籠中のものとしてしまうアレンジ術は
驚愕の一言に尽きる。セルジオ・メンデスが単なるポップス専門の
アーティストではなく、ポップスをやっているだけで、音楽に深い
造詣のあるアーティストであることが分かる。
今聴きかえしても、とても60年代後半の作品とは思えない程新鮮。
モダンポップカルチャーの再燃とともに、むしろ新しい音といえる。
そんな気さえする珠玉の1枚。どうぞお聴きになってみてください。
コラボレイションズ
Hip HopやJazzなど、様々なジャンルの様々なアーティストとの共演曲をまとめた1枚。
それぞれのアルバムを揃えるのは手間もかかるし、何よりお金もかかってしまうので、
こういった作品は本当に嬉しい贈り物です。
また曲をただ並べるだけではなく、曲間や曲順も考慮されているようなので、
最初から最後まで違和感なく自然に聴けてしまいます。
オリジナル・アルバムとはまた違った、Jillの「歌」を存分に堪能できる作品だと思います。
(国内盤には各曲の解説がありますので、個人的にはこちらをオススメします。値段は少し高くなりますが;汗)
マシュ・ケ・ナーダ
ポップなアレンジで親しまれるブラジルのアレンジャ、セルジオメンデスのデビューアルバム。全米にヒットを巻き起こし、ブラジル音楽を世界中に知らしめたアルバム。「ブラジレイロ」などと並んでメンデスの必聴盤。
モーニング・イン・リオ(期間限定特別価格)
ジャケットのデザインが前回のタイムレスとは打って変わり、かなりフェミニンな感じに仕上がっているし、歌詞カードの写真もモデル風の女の子のそばでニンマリと笑うセルジオ・メンデスが写っている。そういうスタイルを狙ったのか、今回は、かなりラブリーな雰囲気なアルバムになっている。恋人と二人でリゾートなんかで聞いたら最高だろうな。
特に僕が一番気に入ったのは、ドリーマー(夢見る人)という曲。ものすごくスイートな曲で、ラニ・ホールという女性歌手は今回初めてきいたけれど、とても素敵だ。で、セルジオさんも、他の曲は主にローズピアノでバックメロディーを地味にたどっているけれど、この曲はちゃんとデュエットしていて、歌もなかなかのもの。
6曲目のルガール・コムンは、日本版だけが、DREAMS COME TRUEの参加になっているけど、雰囲気たっぷりで、5曲目のナタリー・コールの後でも見劣りせず聞ける。ただ、歌詞で、「ありきたりの場所」といっていたけど、僕は「いつもの場所」とかにしたほうがいいかと思った。「ありきたり」というのはなんかネガティブな感じでピンとこない。
録音はバツグンです。パーカッションの妙味に静かに響くトランペット。そしてその裏でセルジオさんのローズピアノがスーっと流れる。
こんなスイートでおしゃれで大人のアルバムは、そう出会うものではない。
Timeless (Dig)
なつかしのセルジオ・メンデスが帰ってきた。それも現代的にリニューアルされて。一曲目のマ・シュ・ケ・ナダを聴いた瞬間、なつかしさがこみ上げた。制作したのは駄盤がないコンコード。曲数が多いが、もちろんマ・シュ・ケ・ナダ以外の曲もごきげん。ただし、プロデューサーがヒップポップ系なので、ラップのようなノリが気にいらない人もいるだろう。余談だが、ジャケット内側のセルジオ・メンデスの写真、すっかり頭髪がなくなって(ハゲになって)時の流れを感じさせる。(松本敏之)