ゴールデン☆ベスト
25年ぶりに達彦さんの曲が聴きたくなって購入しました。
王道の「摩天楼ブルース」や「紫陽花」はやっぱり素敵でした。
私が好きな「優しい朝」もやっぱり良かった。
当時の私はまだ中学生でアルバムもそんなに買えませんでしたが、
今回知った曲のなかで、良いなと思ったのは、3・5・12・17・18です。
特にラスト3曲のバラードはシビレます。
TO BE(紙ジャケット仕様)
1986年2月発売。当時、同じ東芝EMIの本田美奈子が「1986年のマリリン」で席巻していた頃である。
さて、前作「メディティラネ」が地中海をテーマにしたアルバムだっただけに、この変貌は「やられた!」というのが、正直な感想だった。
1曲目「SHAKE SHAKE SHAKE」(6分13秒)である。
また松尾由起夫の作詞とのコンビネーションが、これ以上ないくらいにハマっており、全体のサウンドや、エンディングに至るまでの展開が何とも面白い。バックアップボイスの達彦氏の♪ドッワァパッパー♪も、ファンには想像しえなかったパフォーマンスである。ライブの終盤で盛り上がるナンバーの一つであったが、このアルバムはこれを聴くだけで「満腹!」である。
タイトル曲「TO BE」も、杉山政美の詞が際立つ。人生観や時代を生きる強いメッセージが込められている。エンディングの「WONDERFUL NIGHT」、この逆説的な売野氏の詞もそうだが、当時はこういうものを発信したかったのだろう。
この数年先に、日本経済はバブル期に突入していくのだが、既に何か警告を出している様な気もしないでもない。
山本達彦の違った一面を知るには、良いアルバムである。
I LOVE YOU SO(紙ジャケット仕様)
勿論、彼は素晴らしいComposerですが、ヴォーカリストとしても如何に
卓越しているかを感じたい作品です。
彼のアルバムはいつも、ボサノバ調あり、ジャズ調あり、ロックあり、
そしてバラードありと、様々なカラーの曲をひとつのアルバムテーマに持っていく
という感じがするのですが、どの曲も彼は静かに、確実に、歌いこなしています。
癖を付けて歌うことがあまりないのに、どの曲の
ヴォーカルも素晴らしくはまっています。
楽曲も、全曲表情があって何度リピートしても飽きません。
「I LOVE YOU SO」や「摩天楼ブルース」は彼が攻めに出始めたこの頃の
名曲(おそらく代表曲)です。
あの頃彼が好きだった方も、もう一度その声に酔いましょう。
70th&80th Best
待望の山本達彦氏のデビュー時(日本フォノグラム)〜最盛期(東芝EMI)の音源のベスト・カップリング盤です。
この発売のニュースを聞いて、腰が抜ける程、とても唸ってしまいました。そして、どんな曲が収録されるのか、この約1ヶ月すごく興味がありました。そして期待したその結果、無難な選曲でした。
コアなファンとしては、本当に「幻」になってしまっている日本フォノグラム時代の曲を、2枚組の内、1枚まるまる入れてほしかった。
このベストと併せて、同時期に東芝EMI時代のオリジナル・アルバムが復刻されるのですが、そのアルバムからの各数曲がほとんどを占めているので、このベスト盤の役割は、それらの紹介盤と言った役割とも受け取れます。これは、販売元のEMIの都合か、何かの権利の都合かな?とも推測されるのですが、どうなんでしょうか。
しかし、しかし、それでもこのベストは“貴重”ですぞ。
日本フォノグラム時代の名曲「最上階」、「突風」などの5曲が今、デジタルサウンドで聴けるわけですから。東芝EMI時代との大きな違い(=声、サウンド、方向性)を、ぜひ堪能してください。
MUSIC(紙ジャケット仕様)
「太陽がいっぱい」「MARTINI HOUR」で、
レコードセールス、知名度を上げ、環境的には十分整った時期(84年)のアルバム。
タイプの違った10曲が散りばめられているが、前作がストイックな内容、表現だったので、
こういう変換を見せるとは思いもしなかった。
冒頭の「MUSIC」は、それまでにない新しい切り口のナンバーである。
詞と曲のバランスが取れており、単純に耳にスッと入って楽しめるが、
これは実に奥深い歌詞で、ニューミュージックだけでなく、ジャズ、クラシック、
その他多彩なジャンルにおいての“音楽愛好家”に言える、真に的確な表現だ。
それを簡単に見せている杉山政美の詞の世界の独自性がある。
またラストの「紫陽花」では、得意とするバラードで、大きな人生観を歌い上げている。
詞・杉山政美、曲・山本達彦というコンビネーションは、他のアルバムでも名曲が結構多いので、
ぜひ聴いてみて頂きたい。
アルバム全体として言えば、個々の曲としては面白いのだが、
サウンド、方向性が異なるので、くくりのコンセプトという面では散漫な印象を受ける。
ただ、当時の名曲としてのベスト盤的な見方であれば、まあ良いのでしょう。