ハナミズキ プレミアム・エディション(2枚組) [DVD]
主役の新垣結衣の笑顔は凄く可愛いんだけど、他の表情はちょっと無表情です。
英語も付け焼刃であまりに下手糞なのでニューヨークで頑張っている設定にはかなり無理があります。恋人同士の幸せ感も全然伝わってこないので気が滅入りました。
お互い本当に好きで気持ちも確認しあっているのに、それを差し置いてただ海外で英語を生かした仕事をするという中学生が漠然と描くような夢や目標のために「頑張れサエ」と応援する意味が分かりません。そんな漠然とした妄想だけを追って5年も6年も海外で頑張れるものでもないと思います。
人生に葛藤はつき物ですが、その葛藤の原因が表面的にしか描かれていないのであまり共感できませんでした。
斜陽 (新潮文庫)
私も多くの読者と同じように、十代の一時期に太宰にハマり、今はそれほど好きではなくなっている。そして久しぶりに『斜陽』を読み直すと、作者の強烈な甘えと自己弁護に驚き、以前のように熱中することはできないと再確認した。
しかし、直治の遺書には、より共感できるようになった。この部分は、特に太宰が真剣に本音を述べているように思われる。
《僕は、僕という草は、この世の空気と陽の中に、生きにくいんです。生きて行くのに、どこか一つ欠けているんです。足りないんです。いままで、生きて来たのも、これでも、精一ぱいだったのです。》
この言葉には、今こそ共感する人が増えているのではないか。
確かに『斜陽』は、退廃と死の作品である。四人の登場人物のうち、母と直治は死に、上原も、これが当時の作者自身であるなら、間もなく自殺することになる。
《「なんにも、いい事がねえじゃねえか。僕たちには、なんにもいい事がねえじゃねえか」》
直治は泣きながらこう言ったが、まさにそのとおりである。しかし、作者が描きたかったのは、かず子の強さと明るさではないか。6年前に一度会っただけの、妻子ある男に「子供を生みたい」と強引に迫る、滅茶苦茶な女。太宰はそんな女を主人公にして、「革命」を託した。女がよい子を生んで育てるのが革命とは、意外に平凡なことではあるが、敗戦後の時代には多くの苦難を伴う仕事であり、それは大震災後の現在にも当てはまると言えよう。