あの日にかえりたい
超自然的な不思議な出来事を通して、理不尽な運命にちょっとだけ抵抗する全6話。恒川幸太郎や朱川湊人の作風と似たところがある。だが、ストーリーの仕掛けはいいのだが、主題がちょっとほころんでいるというか、微妙にしっくりこないような感じも少しある。そんな中で「did not finish」は意外な結末が印象に残った。失敗も後悔も含めて人生を全肯定する力強いメッセージで、一本芯が通っていた。
ギターソロコレクション フォーク&ポップス (ギター・ソロ・コレクション)
難易度:中級
ジャンル:60〜70年代フォーク
記譜方法:5線譜、タブ併記
ソロギターでは、知らぬ人はいない江部氏の編曲です。彼は、ボサノバ、ジャズ、クラシック、洋楽、JPOPと様々なアレンジを手がけていますが、本書でもその才能は発揮されています。フォーク系のソロ楽譜は多数手回っていますが、やはり彼の編曲に対する作りこみは、頭一つ抜き出ている印象。それは、やはり前奏や間奏の部分に現れています。邦楽系ソロ楽譜の出来不出来を見るファクターの一つとして、私は「間奏の出来」を評価します。
本書で例を挙げるなら神田川の間奏、12フレットから7フレットの返しなど、忠実に再現しているし、夢の中での間奏の再現も実に卓越しています。選曲は、フォーク全盛期から可も無く不可も無くという感じですが、編曲力があるので、お気に入りの一冊に仕上がっています。尾崎亜美のオリビアやバンバンのいちご白書は、中々ソロ楽譜でお目にかかれず、是非弾きたかった曲だったので、これだけでも価値があります。もちろんいちご白書も間奏はばっちり再現されています。
意外に、好感触だったのがあの日に帰りたい。もうすでにこの曲は色々な編曲家がアレンジされており食傷気味状態でしたが、いざ弾いてみると中々新鮮でいいですよ。これ。ボサノバ調の伴奏が入るのは彼らしいです。
個人的には、サボテンの花などはすでに量産過剰なので、サヨナラ模様とか、愛はかげろう、秋の気配。とか、隠れた名選曲をしてくれる楽譜を待望しているところですが。。
VIVA! 6X7
「恋の苦さとため息と」「Choco-language」などユーミンらしさを含めつつフレンチポップをイメージしたような内容でジャケットに偽りなくおしゃれで高品位です。田島貴男とデュエットした「太陽の逃亡者」やブルーノート的な「Summertime」などたくさんの内容がぎっしり入っています。毎回思いますがユーミンの詩のセンスはすごいものがあると思います。物の例え方や、景色をこんなにも言葉で鮮やかに表現してしまうアーティストは数えるほどしかいません。またデビュー30年を超えても色あせないアーティスティックな作品を作り続けていることにはすごいパワーを感じます。10代でユーミンを聞いたことがない人に是非ユーミンを聞いて欲しいです。必ず好きになる曲があるはずです。
男と女-TWO HEARTS TWO VOICES-
まずは従来の『デュエット物』とは全く別物とご理解いただきたい。
彼の硬質で男性的な声の魅力を活かしてカバー曲を自らの色にしつつ、女性ボーカリストの魅力をも際立たせてます。稲垣潤一のアルバムではなく、「稲垣潤一プラス11組の歌姫」が繰り広げる「男と女」のアルバムです。
選んだ11曲の原曲はアーティストの代表曲だからカラオケでは「物真似」になる曲ばかり。それを稲垣潤一の世界に変えてるのはさすが!
曲によっては「歌姫」の雰囲気が勝ってるのもあるけれど、そこはご愛敬♪ この11組のチョイスとアレンジの妙に★5つ!! 13人のアーティストたちの魅力を堪能してほしい。
まずは偏見を持たずに聴いてみて下さい。
Queen's Fellows: yuming 30th anniversary cover album
●カバー曲がオリジナルを超えるなんてのは奇跡的なことなんだけど、このアルバム中の何曲かには「あわや奇跡か?」と思わせるものがあってスリリング。●中でも最高なのが、aikoの「セシルの週末」。ドラマティックな原曲を、洗練したJポップに変身させたのが見事。他にも、原曲をさらに純化した1、異様なドライブ感で疾走する10、詞の情景描写を堪能させてくれる11などが素晴らしい。13は再収録だが、椎名林檎の歌は、まるで裁ちバサミでグッサリ刺されそうな情念をこの曲に吹き込んでいてコワい。●それにしても、ユーミンに比べてどのアーティストも実に歌が上手い。上手いんだけど、やっぱり最後はユーミンの歌に帰ることを再認識させてくれる一枚。