光あれ
様々な女に溺れ溺れられる主人公。
うんざりする程繰り返される官能描写は、
原発の他に立て直す術を持たぬ街、それを見透かし
原発を推進する国と会社の象徴では無いか。
どちらからも狡く哀しい甘えの匂いが漂う。
私は原発が無いと成り立たなかった街の人間です。
3.11以降もその処理の為に働く人間に関係しています。
読む前に躊躇しました。仕事のモチベーションを奪われはしないかと。
結局幸いにも、そういう事はありませんでした。
高校生の子供にも読ませようかと思っていたのですが、
官能表現が直接的過ぎて無理でした(笑
食神 [DVD]
この作品に興味を持たれましたら、是非ともVHS版(字幕)をご覧ください。
DVD版と違って洗練されていない?字幕に抱腹絶倒間違いなしです。(字幕は丁寧じゃない分、面白さがそのまま伝わってきます)
DVD版を経験済みの方も、機会があればVHS版を是非!
淡雪記
ダークな「フランダースの犬」という感じ。
けどこれまでの馳星周作品の中では文体も展開もフランクで非常に読みやすかった。一気読み。
主人公も、冒頭だけ読むとそうでもないけど読み進めるうちに実はかなりの食わせ者だってことが
わかってきてなかなかに面白い。
ヒロインの有紀は完全に世の男性が好む理想の女像って感じだったけど
同性の私から見ても魅力的で(何で彼女が主人公をああも気に入ったのかは未だもって謎だけど)
見守る感じでストーリーを追えた。
クライマックスからラストへの展開は簡単に予想できてしまうのでそこまでの感動、感銘と
いったものはなかったけど、これだけの長編の割にはきれいに収まるところに収まっていたと思う。
まあおすすめです。
夜光虫 (角川文庫)
99年版 このミス 11位
大学野球のスタープレーヤーとしてプロ入りし、ノーヒットノーランを達成した加倉だが、肩を壊し日本球界を追われ、母と弟の住む台湾にわたることになる。野球への情熱を捨てきれず台湾プロ野球チームに入団するも、八百長に荷担することとなる。そして、この八百長の露見をふせぐため、加倉の狂気と暴力が解き放たれていく。
この作品は、残念ながらあまり評価されているとはいえないが、名作「不夜城」に次ぐ完成度の高い作品だと思う。閉塞された状況の中で、愛情と憎しみから、破滅へ向かうと知りながら突き進む主人公の姿がよく描けているし、また、ラストシーンもうまくできている。
平成10年に刊行されたこの作品以降、突き抜ける作品がないのが残念である。