Regalo~ベスト・オブ・鈴木慶江
鈴木慶江さん自身がセレクトしたベスト盤だそうです。
TVで使われた曲やCMで使われた曲なども含んでおり、知らず知らずの内に鈴木慶江さんの歌声を聴いた事があるのではないでしょうか。
とても優しい歌声は、クラシックが苦手という人にも意外にすんなり受け入れられると思います。
聴いていると肩の力が抜けてリラックスできる1枚ですよ。
第40作 男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日 HDリマスター版 [DVD]
シリーズ初期作品ほどではないがリマスター効果はわかります、特に外光による撮影シーンのきれいさが良い、シリーズ中期以降に顕著なごくごくありふれた日常の中の「美しい日本の風景」を描写するという点では本作はもっとも高評価を与えるべきと考えます(蛇足だが、早稲田大学と早稲田の街でさえきれいに撮られています)、ただし、スタジオ撮影シーンの女優の顔のテカリがリマスターで明確になりすぎているのは少々興ざめします、
以前は、「知床旅情」後の三作をシリーズの底のように感じていましたが、現在では評価を改め満夫シリーズ開始以前の「男はつらいよ」完成形として個人的には「知床旅情」以上に愛着を感じています、
本作のゲストの二人、三田佳子と鈴木光枝は両者ともに独特のえぐみのようなものを感じけっして好みの女優ではないのですが、なぜが本作品はしばらくするとかならずまた見たくなる、ふとした瞬間に本作を思い出しまた見たくなる、ということの繰り返しです、
その原因は、シリーズのこの後の作品において見る人によっては感じられる「いつかどこかで野垂れ死にする寅」という設定が本作で初めて表面化していることがおそらく私個人の嗜好と合致しているからでしょう、(個人的に夢想するシリーズのラスト・シーンは、満夫の結婚式に向かおうとするも急病をおこし無人の駅舎でひとり野垂れ死にする寅です)
本作で鈴木演じる老婆は亡夫の魂の宿る自宅での治療を望みながらもかなえられず入院します、三田演じる主治医は治療のために入院は仕方がないとは感じながらも自宅での最後を望む老婆の思いにも同情を強く感じます、自分の最後の場所を自分自身で選択できずに強制的に入院させられることがはたして幸福なのか、など2010年の現在にも通じる死生観を題材に、サラダ記念日という当事の流行に思いっきり乗った企画であるにもかかわらず、昭和末期のバブルな雰囲気にざわつく世間もたくみに盛り込んだ佳作に仕上がっています、
デンマークの椅子
和書でここまで深く掘り下げた本は他にはなかなか見当たらない。写真点数が非常に多くその質も高いのでそれだけでも見ごたえはあるが、特筆すべきはその図面である。木工作家やデザイナーにとっては非常にありがたいのではないだろうか。
Edge
田中信正は日本におけるフリージャズの第一人者である佐藤允彦に師事した経歴を持ち、
その奇抜なプレイのみならず独特の演奏フォームからも極めて非凡かつ
「変態的」なイメージを抱かせるピアニストである。
私は2年前の大晦日に期せずして聴いた彼の「A列車で行こう」を決して忘れない。
ベテランドラマーの村上寛を振り落とさんばかりに白熱する彼のピアノソロは
「A列車」というよりも「暴走特急」と呼ぶのが相応しく、その音の洪水に呑み込まれた私は
終演後、その凄まじい音楽が感性の域値を超越して放心状態に陥った。
その切れ味鋭いインプロヴァイズは脳みそに「天才」の2文字を刻ませるには充分なものであった。
そして本作「Edge」である。
田中信正kartellというトリオ名義では2作目でありデビュー作から実に6年越しに発表された作品となる。
全て彼のオリジナル曲で構成されているがその水準はおしなべて高い。
その楽曲はどれも独特のポリリズムを含んでいるのが特徴的で
意外なほど(?!)均整のとれたメロディーで構成されているのが印象的である。
随所に入るフリージャズ的アプローチも彼ならでは。
しかしながら結局CD媒体ではライブにおける彼の「暴走」を目撃したときのような
カタルシスを得られないのが事実である。名実ともに日本のトップに君臨している
山下洋輔とのピアノ対決の際、名ドラマー森山威男をして「全く負けていない」とまで言わしめた
彼の高いポテンシャルの片鱗を覗かせるのは、本作においてはタイトル曲の「Edge」に限られる。
それ故に本作の魅力は前衛的かつ先鋭的なピアノトリオのサウンドスケープに尽きると断言して良い。
ここでの彼は明らかに総体的なトリオ表現の方に注力しており、その完成度は前作よりも際立っている。
寧ろ彼が脇役として参加している森山威男の諸作品の方が奔放な顔を見せているのが面白い。