宮沢賢治の地的世界
熟さない用字法ながら「地的世界」は「知的世界」のもじりで、造語に入るのだろう。普通の表現では「地質学的」ということになる。賢治は森岡高等農林学校地質及土壌教室に進んで、地質学についての専門的な研鑽を積んだ。それが賢治の文学作品にどのように反映しているか、本書で地質学者がどう読み解いているか、興味あるところである。
「賢治による地質専門用語の詩語への変換」の章を見てみよう。
(1)死の語感重視によるマイナーな術語の導入…「春と修羅」所載「函館港春夜光景」にガスタルダイトとインデコライトは賢治が知っていたであろう鉱物名に由来するということ。前者はラン閃石の一種であるが、今は死語になっている。後者のインデコライトは藍電気石。
(2)意図的な術語の誤転用…科学的に正しい表現である「六方両体」とせず「複六方錐」としたのは、賢治が詩のイメージを大切にして美しい日本語に変えたと推測される。
(3)術語の読みとつづりの変換…訓読みから音読みへの変換(鱗)。英語表音の変更(石英安山岩)。術語表記の短縮(塩基性岩)
(4)用語の視聴覚的に多様な表記…(黄玉・トパーズ・トパース)(蛋白石・オーパル・オパール)
このように様々に言い換え、微妙な使い分けに賢治の詩語への敏感さ、美しい日本語へこだわりがあったとも言えよう。本書の内容はこの他「賢治研究における地質学的疑問」「賢治の地質学的調査および研究の評価」という著者の専門分野からの鋭い切り込み方が伺える。しかし、文学作品として賢治作品を鑑賞するのには、必ずしも必須事項ではないように思われる。
ただ、賢治理解の一側面が伺え貴重な書であり、大変新鮮な切り口を鮮やかに見せてくれてありがたい。
with you feat.Me (テイルズ盤) 豪華特典付き(テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー3」対応・装備ダウンロードシリアルコード他)
自分のように、PSPソフト『レディアントマイソロジー2』でBACK-ONの曲に触れた方は多いのでは無いでしょうか。
純粋なBACK-ONファンからするとゲームとのタイアップは複雑な思いもあるかもしれませんが、それで音楽の本質が変わるわけではないと思います。
特典目当てで買う方も多いでしょうが、ゲームファンの中にも、曲を良いと思って納得して買っている人間がいることを知って頂ければ幸いです。
さて、肝心の楽曲ですが、今回はやはりフィーチャリングでmiso・・・じゃなくてMeが歌に参加している点が特色的ですね。最初に聴いたときは違和感がありましたが、Meの歌声がハイテンポな曲に合っているため、全体的にBACK-ONとよく噛み合っていると思います。
標題曲「with you feat.Me」のテーマは「君と会って変われた自分」というシンプルなもので、キャラクターが多数出る『レディアントマイソロジー3』のOP曲としても良いと感じました。
ED曲の「流れ星」ではBACK-ONのみですが、曲調的にMeは参加しなくて正解でしょう。自分はサビの盛り上がり方が好きです。
3曲目の「witu you『テイルズ オブ』Remix」は、カノンノ(CV:平野綾さん)が参加し、間奏でテイルズの戦闘曲3つをアレンジして織り交ぜたリミックスです。
カノンノの声が劇中よりも可愛い感じで、これなら普通に参加したバージョンも聴きたかったなぁ、と。
ちなみに、使われている戦闘曲は(1)ヴェスペリア「戦いの火蓋」、(2)グレイセス「抜刀!研ぎ澄ませ!」、(3)アビス「The arrow was shot」だと思います。間違っていたら申し訳ない。
よっぽど特典類が不要ということでなければテイルズ盤の方がお得ですので、こちらをお薦めしたいと思います。
(※特典類は画像もあるので、特に言及することはありません。)
逆転検事2(通常版)
シリーズ全てやっている人間です。
●良かった点
<システムについて>
・シリーズ作品だけあって、操作性でストレスを感じることはほとんど無い。
・画面は安定&洗練されていて見やすい。
・ロジックシステムはやはり御剣らしいシステムで楽しい。
<シナリオについて>
・伏線とその回収がかなりきっちり作られている。
・一柳検事が自立するくだりはよかった。
・糸鋸刑事の忠誠ぶりに目頭がアツくなった。
●不満点
<システムについて>
・ロジックチェスが全然論理的じゃない上に、爽快感を感じられない。正直言って面白いとは思えなかった。
・「つきつける」の内容がやや曖昧。「示したいこと」を指す証拠品はこれ以外にもあるのでは? と感じることもしばしば。
そう言う意味では難易度が上がっていると取れなくもないが、納得できる要素が薄かったので単にわかりづらいと感じただけだった。
・科学捜査が面白いと思うのだけれど、今回あまり活躍しない。ロジックチェスは無くてもいいから、こちらの出番を増やして欲しかった。
<シナリオについて>
・序盤の水鏡裁判官の行動が意味不明。「ある目的」の為に暗躍していたとしても、主人公につっかかる必要性をまるで感じない。結果的に説得性にかけるので、何がしたかったのかがわからない。「却下」の内容も納得できないものが多く、嫌がらせをしたいとしか思えず鬱陶しいだけだった。
・「真犯人」達の反論が弱い。「そこ反論してもあんたの有罪は変わらないだろう」と言えるような反論が多いのに、誰もつっこまないし、主人公も疑問を持たない。なのでプレイヤーが主人公に共感できない部分が多々あった。
・記憶喪失のミクモちゃんが、少々鬱陶しい(笑)。あれだけ主人公が頑張ってるのに「もう諦めてください」って何度も言われるとさすがに助ける気が失せます(^^;
ここからは私が感じた最大の問題点なのですが。
今回一番問題だと感じたのは「テキストの面白さが弱い」と言う点だと思います。
逆転裁判1〜3の魅力は、テキストの面白さがかなりの部分を占めていました。
テキストが優れていたからこそキャラがしっかり立っていたし、厚みがあったのだと思います。
特に気になったのが、捜査パートにおける各キャラクター達の台詞。
単に埋めるためだけにテキストを作ったのでは? と感じるような薄い内容が非常に多かった。
故に読んでいても残らないし、何も感じないので話を聞くのが「作業」に感じられたシーンが非常に多かったです。
コミカルな部分にしてもシリアスな部分にしても、初期三部作は非常に練られた内容だったと思います。
そのおかげでシステム面の不備や、少々の無理な展開にもさほど不満を感じなかったわけで。
そういう気遣いが今作では欠けていたからこそ、シナリオやシステムの不満をより感じてしまったのだと思います。
今回のシナリオは全体的に見れば悪くなかったと思います。主人公の苦悩や各キャラクター達の思いは設定的に見れば他作品と遜色は無いと思います。
ただその見せ方が物足りない。
端的に言うと粋じゃないんですよね。
例えば御剣検事の魅力は、彼なりの信念とプライドを持った気高さであり、その前提があるからこそ、生真面目すぎるが故の天然さや己の信念を貫こうとするがあまりの冷徹さが活かされる思うのですが……。
前提である気高さが今回のテキストからは伺えず、主人公の天然な部分や情の部分ばかりが主張されていたので本来の魅力が活かされていなかったのが勿体ない。
料理に例えると、本来の料理が美味しいからこそつけ合わせのハーブが活かされるのにハーブだけ盛りだくさんに食べさせられた……といった感じです(^^;
テキストを読むのが「作業」と感じてしまったらこの手のゲームはキツイです。
その上今回はシナリオにボリュームがあったので尚更です。
一周目はそこそこ楽しめましたが、二周目をしようとする気にならなかったのはここが大きな原因だと思っています。
かなり辛口に書きましたが、このゲーム単体で見ればそれなりによく出来ていると思うので、星三つにしました。
ただシリーズ作品としてみれば少々厳しいですが「星二つ」と言うのが正直な評価です。