WAGE OF SIN
ヨハン・リーヴァの脱退を受け、ドイツ人女性ヴォーカル、アンジェラ・ゴソウを迎えての四枚目の作品。マイケル・アモットの人選に驚かされた。女性ヴォーカルのデスメタルバンドというのは、決して珍しいものではないが、事、重鎮アークエネミーのヴォーカルにとはいかがなものかと、聴くまでは思っていた。しかし蓋を開けてみれば、凄い出来ではないか!!噛み付いてくるんじゃないかって思わせるほどの凶暴な歌声に圧倒された!曲もしっかりとシェイプされタイトでリズミックなパートとメロディアスなパートが見事に融合され、ドラマチックな展開をみせる。畳み掛けてくるようなエネルギー溢れる格好良いギターフレーズとアンジェラの破滅的ヴォーカルが見事マッチしていると思う。とにかく1曲目、2曲!目、8曲目のギターソロの展開とラストの曲はメチャクチャ格好良いで!!燃え盛る天使が堕ちてゆく・・・・。そんなイメージがピッタリの激烈メロデスアルバムに仕上がっている。
BURNING JAPAN Live 1999
最高のライヴだと思います。生の臨場感や熱気がよく伝わってきますし、選曲も良い。
そして本当に素晴らしいのが演奏テクニックで、兄弟のプレイはライヴで完全に神懸かってます。美味しいところは残しつつ、アドリブ要素もスパイス程度に盛り込まれていて、これが原曲を超える良さがあります。
ヨハンもライヴじゃかなりアグレッシブで、スタジオアルバムとは同一人物とは思えないほど良いボーカルだったのに…。
BURNING BRIDGES
Arch Enemy、Johan Liiva在籍最後のアルバムであり
個人的にArch Enemyの最高の出来のアルバムである。
次作からAngela Gossowが加入しそのビジュアルばかりが
話題になりがちであるが音楽としてのレベルはここがピークである。
本作はメロデスとしてドラマティックなメロディ、
荒々しさを伴ったアグレッシブさという二つの要素を完璧に満たしており
メロデスというジャンルの中では最高峰のアルバムである。
The Immortal、Dead Inside、Pilgrimと攻撃力の高い曲が続き、
サビのメロディが思いっきり泣き要素全開のSilverwing、
刻みリフと吐き捨てボーカルが良く合うDemonic Science、
正統派メタルっぽいSeed of Hate、
邪悪そうなイントロで始まるインスト曲Angelclaw
と、キラーチューンがかなりの数を占める。
捨て曲も数曲あるが全く気にならない。
10年近く前に作られたアルバムなので音質が微妙ではあるが
かえって良い味を演出するのに一役買っている。(97点)
スティグマータ
スウェーデンのメタルバンド、アーク・エネミーの2nd。1998作
「デスメタル」としてこのバンドを聴くのなら、この2ndまでだろうと思う。
ダークなヘヴィさとブルータルなアグレッションを残しながら、激しい疾走とともに、
随所に流麗なギターワークを聴かせる、アーエネ節が確立しつつある傑作だ。
2009年リマスター盤には、「BURNING JAPAN Live 1999」からの4曲を含む7曲を追加収録。
リターン・トゥ・ゼロ
5年ぶりでこういう作風できたか…が第一印象。
いくつか彼らのファンの中でも賛否分かれる要素はあると思うが、JBの後任アポロは歴代で1番巧いと思う。
ここでの巧いは「歌える」と言う事。 スパイスはがなり一辺倒だったので正直嫌いだった。JBは中域に色気のあるヨルン ランデに近いカヴァデールタイプで大いに好みだったが、曲調やスパイスを意識しがなる悪癖があった。彼は元々甘い声なのでスパイスと違い、がなると力みに繋がった。リラックスして歌えは最高のシンガーだったのに、惜しい逸材を手放したと思う。
そう言った面から見るとアポロもデビカバに近い声質と言えよう。JBより線が細いが節回しはこなれている。個人的には嬉しい誤算だった(彼をディオ的と言う方がいるが声質、レンジが全く違う)
そして最大の問題は曲の質。スパイス期はメロディよりまずリフありきだった。多くのファンが求めるスピベガ像がこの時期にあったのは認める。ただJBやアポロという「いい喉」の持ち主が加入してマイケルにリフで押しまくる意外の選択肢=メロウな曲調もやれる!という考えが植え付いてからの本作含む3作品は、彼のコンポーザーとしての才能が試される事となる。 しかしメロウに流れるというのは、ある意味普通のHRバンドと比べられる訳で70年代とストーナーの折衷が付加価値としてあった以前の彼らと違い、今は幾多の優れたメロディックHRバンドとの比較が待っていたわけだ。 そして今回はその戦いに負けたと言わざるを得ない。大半の曲がフックに欠ける凡作だからだ。ただ代わりにアポロという優れた歌い手を手に入れた。次回に私は期待する。 そのかわり「マントラ」「アドアストラ」を最高傑作とする方々は、そろそろスピベガに見切りを着ける時期に来たのかもしれない。実質3.5点。