正しい楽譜の読み方 -バッハからシューベルトまで- 〜ウィーン音楽大学インゴマー・ライナー教授の講義ノート〜
楽譜にアーティキュレーションの指示がない古典の曲の,演奏速度や装飾音の決め方を教えてくれる本である。
ウィーン国立音楽大学のセンセイの講義をベースにした本だが,薄いし,平易な書きぶりで,エピソードも豊富なので,楽しく古典の演奏法の知識が身につく本である。
ヨーロッパの宮廷のダンスは,日本の参勤交代と似た意図があり,各地の領主を強制的に城に集めて,謀反を企てる暇がないようにするシステムだったとか。
大広間で椅子に腰掛けるのは,王族のみ。残り全員は何時間も立ちっぱなし。
メヌエットなどは1度に1組だけが10分ほど踊る曲なので,皆,二人一組で待機して,何時間でも飲まず食わずの立ちっぱなしで踊る順番が来るのを延々と待ったのだとか。
などなど。
解説もリアルに場面を想像できそうな表現であり,音楽の歴史への理解も深まった。
弦楽器や管楽器で,バロックの曲を弾くことのある人には,楽しい本だと思う。
エメリッヒ・カールマン「マリッツァ伯爵令嬢」 [DVD]
カールマンの『マリッツァ・・』は本当に素晴らしい作品だと改めて認識する。哀愁と快活さに満ち溢れたチャルダーシュに夢見るように美しいワルツと実に多彩である。それにもまして美しいのはハンガリーの美しい大地である。見渡す限りに広がるプスタの風景はこの作品に素晴らしい彩りを添えている。まさにハンガリーの大地がこの作品を生んだと言っても間違いではないだろう。
ビゼー:歌劇≪カルメン≫ウィーン国立歌劇場1978年 [DVD]
1978年12月9日、ウィーン国立歌劇場でのプレミエ上演の映像のDVD。演出・舞台・衣裳は、フランコ・ゼッフィレッリ。カルメンにオブラスツォワ、ドン・ホセにドミンゴという布陣である。
結論から言おう。この『カルメン』より素晴らしい『カルメン』は無い。クライバーは、レパートリーを極めて少なく限定し、リハーサルの時間をチェリビダッケに匹敵するほど、つまり通常の倍以上多く実施し、自分の意に沿わないとわかった仕事は即止めるというスタンスを貫いてきた。それがなければ自身の考えるものはできないと思っていたのは容易に想像がつく。そういう人間がオペラのように多くの要素をあわせ持った作品に『良し』を出したのである。クライバーの『良し』が出ないが故に屍になったり、海賊盤になった録音がどれほどあるか想像もつかない。
実力のある者たちが本気でやるとどんなものが出来上がるか、この『カルメン』はそういったものを眼で観ることができる稀有な経験を与えてくれる。そして何度観ても、これ以上の『カルメン』は、ない。未来永劫出てこない。そう思ってしまうのだ。
ベスト・オブ・カラヤンの遺産 [DVD]
チャイコフスキーのピアノコンチェルト1番は、1988年、キーシンが17歳の時のものだと思います。。この共演が圧巻です。
まだ童顔のキーシンの奏でるダイナミックかつ冷静なピアノ、豊かすぎる音色のオケ。画面に釘付けです。
そのほかの選曲もすばらしく、あっというまの168分です。