囮物語 (講談社BOX)
冒頭たった20ページで明かされるのでネタばれにならないと思いますが、千石撫子が阿良々木暦と殺し合う「なんでまた?」な結末がいきなり明示されます。物語は結末が最初に示され、そこへ向けて経緯が描かれていく形です。
形式というか構造というかその辺りを別角度で言えば、『猫物語(白)』の羽川、『花物語』の神原に続き千石撫子のひとり語り。ということは『猫物語(白)』から始まる「新章」において、語り手を任されなかったのは『傾物語』の八九寺真宵だけになりますね。
さてさて、この『囮物語』ではっきりしたのは『化物語シリーズ』の構成ではないでしょうか。前半章で、善良な心根を持つ軽妙洒脱な語り手、阿良々木暦によって描きだされた魅力的で個性的なヒロインたちに、われわれ読み手は存分に惚れ込むことができます。そして新章では(『傾物語』を例外として)ヒロインたち自らが語り手になってそれぞれの“美しいとは限らない”その内面を吐露して行くことで、われわれは魅力的なヒロインの内面をどこまでも知ることができます。前半章は現代的なエンターテインメントであり、新章は日本的な私小説的世界として対比できるとも思うのです。
千石撫子が『恋愛サーキュレーション』において多くの視聴者を萌え死なせたかわいさは強力無比でしたが、そもそも小説において著者が撫子に託したのは卓越したかわいさのカリカチュアでしょう。西尾維新の面白さは撫子にかわいさ以外の何物をも与えないことです。頭が良いわけでも思慮深いわけでもなくただ ── かわいい。新章において、そのかわいさが撫子の内面を苛み続けていたという著者のリアアリティの持ち方には敬服するより他ありません。
撫子のかわいさの裏側に潜む魔性が気になるなら読まないと言う選択肢はありませんよね。
ちなみにあとがきで第三期の可能性を著者自らが匂わせていたということは朗報として添えておきます。
傷物語 (講談社BOX)
アニメや化物語の前、暦と忍の出会いですね。
言葉の掛け合いとかは流石、維新さん!
戦闘シーンはやけにあっさりでしたが、最後の最後で泣かされました!
この話を読むと、なぜ暦はつばさと月付き合わなかったのか?と疑問に思います。
それぐらい、二人の絆、らぶらぶぶり?を感じました。
アニメか決まっていると聞きますが
ぐろいシーンが多いのでどうでしょうか?
化物語(上) (講談社BOX)
『化物語』と、ド頭でいきなり文字遊びをかましてくれていて、なるほど興味は沸きます。というか自分がタイトルで食いついたタチです。
タイトルで想像するには、"和の雰囲気"を主軸に置いた妖怪・怪系が飛び出す硬派なお話かと思いきや、全然そういう種類ではありません。裏切られましたなぁ。
話の筋書きとしては、特別に追わなければならないような練りに練ったプロット・複雑な登場人物の関係性・意外な結末などはありません。一応"能力者"的な要素はありますけど、さほど重要ではない。読みどころはそこよりも、終始徹されるキャラ同士の掛け合いにありますね。
「女キャラがボケて、男(主人公)がツッコむ」という、漫才のような形でページが進んでいきます。っていうことはつまり、「作者がボケて、作者がツッコむ」という一人コントが本の中で繰り広げられているわけです。作家とはいえ、特にお笑い芸人でもない人が書くコントのようなもの。好き嫌いは出るでしょう。2006年の作品ってことを思っても、俺は嫌いな方に出てしまいましたが。
よーするに、ここで繰り広げられる漫才が「面白いか面白くないか」だけが殆どの評価です。定価で買うのなら、その前に書店でパラッと読んでみると安心です。
化物語ブックマークカードBox(食玩)
化物語が好きで、収集癖がある方向け!
既出絵ばっかりですけど、箔押し・3Dのカードがあって集め甲斐もそれなりに。
ノーマルカードは本編から、特殊カードは雑誌やパッケージ等で使われた絵が使用されています。
もちろん食玩なのでガムがそれぞれに1枚入ってます。
猫物語 (黒) (講談社BOX)
ゴールデンウィークのときのエピソード。
それこそ一番最初、「化物語」のときから、存在自体はほのめかされつつ、その内容に関しては語られていなかった、ゴールデンウィークの猫の話。猫自体は、それこそ『化物語(下)』の「つばさキャット」でも出てきているし、また、これまでの断片的な情報から、漠然とした印象はもっていたが、実際に読んでみると、そんなに単純な話ではないことがわかる。どの辺りから、こういう展開を意識していたのかはわからないが、こちらに想像出来るだけの情報を与えつつ、そこから誤った事件を想像するよう仕向けるあたり、流石に上手いと思った。
後半部分でややバトルっぽい展開になるためか、前半でのエロ展開とのギャップがある。勿論意図的にやっていることだろうが、少し安易すぎる気もする。まあ、それも含めてこのシリーズの世界観とも言えるけど。
また、本書の内容とは関係ないが、巻末に今後の予定(タイトルとか出版時期とか)が掲載されていたが、このペースはかなり厳しいものだと思う。数ヶ月置きに、コンスタントに出版されるのは嬉しいし、ある程度ブームにあるうちにもとを稼ぎたい出版社の気もわからないではないが、きちんと質を確保してもらいたい。