Debussy: Images in Full Score (Dover Orchestral Scores) (Dover Music Scores)
『映像』の「春のロンド」の譜面が見たくて注文しました。前のレビューでインクがにじんでいた部分があったとのことで、ドキドキしていましたが何もなかったです。
運が良かったのか…興味があるなら買いですね。
ドビュッシー:歌劇《ペレアスとメリザンド》全曲 [DVD]
このDVDは幕間がない。ずっと音楽が鳴り続ける。幕間にはオケや指揮者は登場しない。楽譜の演奏されるページが表示される。オケはWelish National Orchestraである。舞台は狭いが、よく造られていて、このオペラにピッタリである。20年以上前にKarajanの演奏をLPで聴いていたが、こんなのだったかなと思い出す。シンボリックでタピスリーの様な舞台が、一枚一枚めくられるように進行する。オケは殆ど強奏せず、ひたひたと舞台の影となり支えとなっている。Hagleyは日本の女優で言うと伊吹ジュンに似ている。振り付けの問題と思うが、妙になれなれしかったり、おてんばに見える場面があり、そぐわないが、その他は全くイメージ通りのMelisandeである。PelleasのArcherは若く、イメージ通りというか、もっとカッコウ良い。舞台は幕が横だけではなく、上下にもあって、舞台を切り取ったようにdisplayするのが斬新である。絵画的な表現を強調している。Boulezの演奏は後場になるほど冴えてきているように思われ、大変美しい。ひとつひとつの楽器が大切に鳴り響き、絶妙なアンサンブルを聴かせている。しみ入るような演奏だ。
それにしても、話の筋はエグい。DebussyはBaudelaireやVerlaineやRimbaudなどと交遊があったそうだが、immoralな内容だ。芸術は社会の常識に挑戦し、人間の性を露わにする。芸術家はimmoralを忌避しないのだ、ということを改めて印象付ける筋である。兄嫁と恋に落ちるPelleasはしかし、とても詩的だ。芸術という由縁だろう。ぎりぎりの人間の性を前にして、これほど詩的な唄が謡われるというのも、感動的でさえある。人間の内面の激しい葛藤を、全編をとおして叙情的でどこまでもロマンチックな舞台に閉じこめてしまう手法というのは、それ自体非常にコントロールの効いた芸術のなせる業であり、それだけに見る者に激しい感動を起こす。筋書きが尋常ではないだけに、舞台がこれほど穏やかに、流れるようにして終わっていくのに、聴く者は強い感動を味わう。しかし、終わってみれば、台本や舞台はともかく、BoulezとWelish National Orchestraの渾身の演奏に、そしてなによりもDebussyの作曲に、深い感動を覚える。久しぶりに泣けてしまった。
おやすみラフマニノフ (宝島社文庫)
楽器をプレイできない音楽鑑賞者にとって奏者の気持ちに寄り添える体験は貴重です。このお話は、音楽小説として読むのが楽しい。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ハ短調を学祭のメインとして、学生のオーディション合格者で演奏し、優秀な奏者は注目されてスカウトされるという設定です。楽器のストラディバリウスの音のすばらしさとか、水害の避難場所で不安で動揺する人々の中で演奏してみんなを落ち着かせる音楽の持つ力の表現などもすばらしいと思います。巻末にピアニストの仲道郁代さんが解説していますが、プロの演奏家も納得する音楽表現がすばらしい。
ドビュッシー:組曲《聖セバスティアンの殉教》、交響詩《海》 [DVD]
ドビュッシー音楽を愛するアバドの心情が伝わってくる名演である。ルツエルン音楽祭でのライブ演奏という緊張感もあり、アバドの棒に対するオーケストラの集中力が心地よい。「聖セバステイアンの殉教」は、アバド自身による抜粋・編曲により、この曲の聴きどころばかりが適当な長さにまとめられたものである。語りも入れたオリジナルの神秘劇は5時間以上に及ぶ冗長なものらしいが、アバドのこの抜粋で聴くと、ドビュッシーの音楽がいかに美しいものであるかが再認識される。もっと、このような形で演奏会に取り上げられるべき音楽だとおもう。一方、「海」はもっともポピュラーな管弦楽の傑作である。多くの指揮者やオーケストラのCDがあるが、このDVDのアバドとルツエルン祝祭管弦楽団の「海」は、おそらくその頂点に位置する演奏となったのではないか。この演奏を聴くと、ドビュッシー音楽を彼ほど愛し理解しているマエストロはいないのではないかと思う。
どこかで聴いたクラシック ピアノ・ベスト101
いろいろなドラマやCMで使われているクラシックピアノの名曲、以外とタイトルは知らないものです。あっあの曲?・・と思うすばらしいピアノの音色がこれで聞けますよ。