休暇 [DVD]
本作は、山梨の地元映画として製作されている。それも山梨日日135周年、YBS55周年という何となく半端な記念作として(笑)。内容に関しては文句のつけようがない良作だ。本作で死刑制度の是非を考える、というシャシンではないが、ひとりの刑務官が「生と死」に向き合う姿は、共感するところも多かった。小林薫、大杉連の芝居も最上だったし。ただし、本レビューは単純な映画評ではない。まあ、無難な特典映像でも付いていれば、特別本欄にコメントすることもないのだが、逆に予告編も付かない特典0、というのは突っ込まざるを得ないぞ(笑)。山日グループが総力を挙げて作ったのだから、当然YBS用に山のようなメイキング映像が残っていると思うのだが、なぜそれらを公開しないのだろうか。LDの時代だって、予告篇くらいは付いていたぞ。地元試写会の様子とかも観たいじゃないか。これだけの名優を揃えたのだから、俳優たちのコメントも聞きたかったなあ。セル用DVDはレンタル用とは違う。保存版として購入しているので、やはり何かしら付けるべきだと思うのだが・・・。作品は4つ星だが、DVDパッケージングとしては不満足なので、1つマイナス。
幻影城の奇術師 (魔界百物語03)
発売が少し遅れたが、そのぶん、面白さが増したような気がする。この新装なった氷室シリーズには、作者の力がすごく入っていると感じた。
プロローグと第1章は、魔界百物語の公式サイトで読んでいたが、改めて最初から読み始めた。一気の読了。いやあ、全2作もいいけど、この作品が一番好きだ。
テンポ感のある展開。謎をふんだんにちりばめておいて、それをどう収束していくのか、と思って読んでいたが、見事な終わらせ方だった。作者の構成力に脱帽である。
奇術師が犯人なのかどうか。そこに、意外な盲点。気づきそうで気づかない。うまいものだなあ、というのが実感だ。
次の第4弾は「殺人者の舞踏会」というタイトルからして、興味をそそられる。QAZのことも気になるし、作者が公式サイトに書いている『「神」に近づく対照的な2アプローチ』はどう関係してくるのか……。
「魔界百物語」シリーズ、とにかく早く第5弾まで読ませてくれ、というのが正直な気持ち。こんなに待ち遠しいリーズは久しぶりのこと。見事、作者の術中にはまってしまっているのだろう。
遺恨あり 明治十三年 最後の仇討 [DVD]
視聴率の取りずらいであろう時代劇は、恐らくスポンサーが付きづらいはずです。
にも関わらず、よくぞこれほどの作品をスポンサーありきの民放が作ってくれたと、万雷の拍手を送りたい。
世辞でもなんでもなく、本作は映画として公開しても遜色ない出来です。
音楽、演出、演者、全てが素晴らしく、視聴後は感動すら覚えました。
本来、こういった作品こそスポンサーが必要でないNHKが作らなければならないはずなのですが……
某大河ドラマに絶望を感じた時代劇ファンの方は、ぜひ本作をご覧ください。溜飲が下がること間違いありません。
私の遠藤くん (集英社文庫)
一言怖いです。
由美香は10歳も年下の彰男と結婚する。
夫を遠藤君と呼び、
異常なほどに夫の行動をチェックする。
10歳年上の35歳というだけで不安を隠し切れない由美香の行動は
どんどんエスカレートしていき、
彰男の同窓会にまで乗り込み、彰男を困惑させる。
しかし、その行動の裏には由美香の悲しい過去があった。
その過去を知ったとき、彰男は由美香のことをさらに愛おしく思うのだが・・・。
彰男の優柔不断ぶりが笑えるんだけど、
というより由美香の行動に対してほとんど腹を立てないその寛容さは、
こちらも異常といえば異常。
お互い様?と思えるような夫婦関係なんだけど、
なんだか、辛い夫婦関係だ。自分には到底出来ないけど・・・。
夫の妹 (集英社文庫)
最後まで気が抜けない展開にわくわくしながら最後まで読みました。
夫と妹と本人の人間性や背景などが兎に角ラストに繋がってきます!
でも良い感じにラストを裏切るのが吉村作品のいいところ!
兎に角最後まで楽しめる1冊ですね!