眠れる森の美女 プラチナ・エディション (期間限定) [DVD]
LDを買い,DVDを買い,そして今回のプラチナエディション,買わざるを得ないじゃないですか!映像特典が6時間とか(ブルーレイは9時間),上映時のシネスコサイズが復活するとか言われたら。 大好きなクラッシックディズニーですから。今のディズニーには絶対作れないうっとりするアニメーション。コミカルな3人のおばさん妖精、悪役の魔女でさえ,どの表情どの仕草をとっても品があって、見終えると心が浄化されている心持です。
英国ロイヤル・バレエ団 くるみ割り人形(全2幕) [DVD]
この映像は、'01年Covent Gardenで上演された際、収録された物。演出・振付は、'85年に収録された同作品の映像と同じP.Wright。基本的な構想に変化はないが、この2つの公演の印象は可也違う。P.Wrightは、Birminghamでも同作品を制作しており、そこで高い効果を挙げた要素を、このCovent Garden版に融合させている。振付の改訂も多いが、特にDanse classiqueの振付に関しては、この公演の方が'85年の公演より優れている。振付が豊かなイマジネーションに支えられ、効果的且つ高い芸術性に富んだものになっている。この公演映像の最も大きな特徴は、Herr Drossermeyerがこの物語の全てを司っていると言う事。この役を演じるのはA.Dowell。彼は、Pasを踏む事はないが、幕開きからエピローグまで、殆どの場面に出ている。要所を掴んだ効果的な芝居、表情の豊かさ、舞台人としての強烈なオーラ、彼が舞台に現れると、彼の一挙手一投足に視聴者の眼が釘付けになる。'85年の公演では、M.Colemanがこの役を演じていたが、彼の慇懃な演技に対し、Dowellの演技は動きが大きく、所狭しと動き回る。甥Hansの救出計画の開始から終結迄、全てに亘ってこの物語を支配する。この公演では、DowellとHerr Drossermeyerが同一化されているように感じられ、彼が熱演する程、Dowell自身の存在が強く印象付けられる。この<胡桃>の公演の真の主役は、Herr Drossermeyerと言って良いかも知れない。もう一つの特徴は、ClaraとHansを子役とせず、年齢の若い大人の舞踊家に演じさせているという事と、彼等の踊りの場面を大幅に増やしているという事。1幕の鼠との戦争で力尽きたHansが意識を取り戻す場面で踊られるデュエットは、'85年の公演では効果的であってもシンプルな物だったが、この公演では、Macmillan張りの難度の高い技巧を要求する振付になっているし、雪原の場面も雪の精達と共に踊る。2幕のDivertissementにも彼等は積極的に参加する。物語上の主役Claraを演じるA.Cojocaruは、ルーマニア出身の若いPrincipal。背丈も然程高くなく周りの子役達に混じっても違和感がない。ローティーンとしての役造り・芝居も上手く、見事なClaraだった。勿論舞踊技術にも秀でている。HansのI.Putrovはウクライナ出身のPrincipal、彼も十分に若い舞踊家、LausanneとLifar competitionの優勝者だけあって、素晴らしい技量を持ち、音楽的感性も鋭い。芝居巧者とは言い辛いが、その素直な演技に好感を持てる。二人とも踊るのが大好きと言う心が見る側に伝わって来て、見る側も清々しい気持ちになる。2人のコンビネーションも抜群である。Danse classiqueの場面の主役The sugar plum fairyの吉田都とThe princeのJ.Copeも最高水準の踊りで、Danse classiqueの醍醐味を堪能させてくれた。巨匠Svetlanovの作る音楽は豊麗で表情に富んでいるが、舞踊家にとって踊り易い物ばかりではなかった。しかし、彼等はその音楽を逆に活かして<大人>の世界の踊りを見事に造り出していた。彼等の踊るGrand pas de deuxは正しくこの作品の最大のハイライトだった。私は、<胡桃>をDanse classiqueの場面を要所に挟んだBallet d'actionと考えているので、'85年の公演の方が私には好ましい。でも、'01年のこの公演の完成度は驚くべき高さに達している。素晴らしい公演の記録が残された事に感謝するばかりである。
チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」
LPレコードで発売された当時、大反響を呼んだ名演。当時高校生だった私は、これを買ってそれこそすり切れるほど聴きました。今なお、この曲のこれを凌ぐ演奏はないと思います。特に、第一幕最後に演奏される「雪のワルツ」の魅力は、この演奏によって初めてその真価が発揮されたのではないでしょうか。プレヴィンは、この録音から14年後の1986年にも、「くるみ割り人形」を再録音しています。これもまた名演ですが、やはり彼の演奏の魅力は、1972年盤の方に軍配が上がると思います。アンセルメ、ゲルギエフも力演だと思いますが、私にとってはやはりこの演奏こそ、演奏史上最高の傑作だと思います。文句なしに薦めます。