Road to Louisiana
NOキチガイ二人が好き放題に愛を確かめ合ったアルバム。細野晴臣(Harry)と久保田麻琴(Mac)という日本POPSの巨匠たちが童心に帰って楽しんでいるだけのアルバムだ。これくらいの巨匠になると遊びもすごい。
しかし、こんなにレイドバックしこんなにうねる音作りなのにルイジアナの湿地のイメージが全くない。あくまで日本人的にクリーンな音だ。そこに日本人という他者の目でしか愛せない哀しさと、意義とが見え隠れする。これが「解釈」というものか!
み空
透き通る金延幸子の声,それを浮き立たせる生楽器の演奏.
素朴で,自然な音楽が心地よい.
加工され過ぎた音の氾濫する中では禁欲的とすらいえる,虚飾のない音作りがもう一度見直されてもよいと思う.
生の声,生の楽器の音,それらの産み出す空気が伝わる音楽を聴きたい方にお薦めします.
PUNK is FOLK
ガガガSPのファンの中でも「フォーク」の側面を理解しているファン向け、という
ターゲット層狭すぎ採算度外視の男気溢れるフォークカバーアルバム。
23分とビックリするくらい短いのでミニアルバムという位置づけだが
「金」と「女」をテーマにした渋い曲選はおっさん好みで何度でも聞きたくなる中毒性がある。
特に泉谷しげる「告白のブルース」のカバーの完成度が高い。
原曲発表から40年経っても悲しいくらい違和感が無い男と女の価値観の世界を
ガガガSPがパンクのフィルターを通して見事に咀嚼している。
曲リストを見てさだまさししか分からないカスタマーや
シングル「線香花火」で「自衛隊に入ろう」を飛ばしちゃうカスタマーには
全体的に見て歌詞がイタイタしくて共感できないかも知れないが、
ガガガSPもワザと世代間ギャップを表に出してると思われるので
このアルバムを聞いてガガガSPのルーツを知るのもいい。
ガガガSPがフォークをカバーするということは
山下達郎が洋楽をカバーするのと同じくらい完璧に噛み合っている(と個人的に思う)ので
次回フルアルバムで登場する機会があればじっくり聞いてみたい。
み空
「日本のジョニ・ミッチェル」と呼ばれるシンガー・ソングライター金延幸子が1972年に発表した1stアルバム。最近まで名前すら知らなかったが、URCの編集盤に収録されていた「あなたから遠くへ」を聴いてその歌声に惹かれてアルバムを聴いてみた。
確かにジョニ・ミッチェルに雰囲気がよく似ている。透明感のある声、湿り気のない詞、シンプルなアコースティック・サウンドがとても洋楽っぽい。「日本のフォーク・ソング」からイメージされる世界とは少し違って、とても清潔な印象を受ける。聴いていると乾いた風に吹かれる感じ。ただし歌唱力が抜群というわけではなく、別のライブ音源では若干音程もあやしい。その辺厳しい人にはキツイかもしれない。
細野晴臣をはじめはっぴいえんど系の人々がバッキングを務めている。控えめながらツボを押さえたさすがの演奏。ジョニ・ミッチェルや荒井由実が好きな人ならお勧めできる。個人的には(2.)あなたから遠くへ(4.)時にまかせて、が愛聴曲。
春待ち詩
比較的入手容易なカバー元の音源を下に書きます。
冬越え:細野晴臣「HOSONO HOUSE」
風は何も恐れはしない:杏「喫茶ロック ソニー編」
曇り空:荒井由実「ひこうき雲」
扉の冬:吉田美奈子「扉の冬」
君をさらって:ジャックス(早川義夫)「ジャックスの奇蹟」
虹を歌おう:赤い鳥「CD選書ベスト『翼をください』」「祈り」
時にまかせて:金延幸子「時にまかせて 金延幸子レア・トラックス」
少女:五輪真弓「少女」
コーヒーブルース:高田渡「高田渡 BOX」
一本道:友部正人「にんじん」
僕は70年半ばに生まれたので、このアルバムに収録されている全ての曲に馴染みがなかったのですが、調べていると、ああ、あれを歌っていた人なのかと曲の方から思い出したりしました。基本的には70年代の名曲な訳で、懐かしく、悪く書けば古臭く聴こえるかなぁ、と思っていたんですけど、意外と新鮮な響きで驚きました。
後これは蛇足ですが、杏の元メンバーの方が「Memi」名義で音楽活動を再開なされたそうです。今回の辻さんのカバーアルバムで興味を持たれた方はそちらの方も聴いてみてはいかがでしょうか。