日本合唱曲全集「祝福」木下牧子作品集
木下牧子さんの合唱曲の中でも、特にポピュラーで聴きやすいものが収録されていると思います。
合唱団は実に美しく澄み渡った歌声で、木下ワールドの素晴らしさをかなり見事に表現出来ています。
これだけの素晴らしい演奏の数々で1,500円という価格はお得すぎると思えてしまいます。
原子力 その隠蔽された真実 人の手に負えない核エネルギーの70年史
2009年にアメリカで発行。福島原発事故をうけて加筆された本書はまことにタイムリーであるといえる。本書をよめば、なぜ原発事故にはこんなに隠蔽が多いのかについて、すっきりとした見方ができるようになる。つまり、核エネルギーは核兵器と本質的にまったく一緒の「軍事技術」であり、秘密にあふれたそれは民主主義とは相容れないということだ。
ちょっと前までスリーマイルは、作業員がまったく考えられないミスを起こしたものだし、チェルノブイリはソ連の設計ミスによるものだから、わが国の原発では起こりえない事故だと堂々と論じるひとがいたものだ。(まだいるのか?)
部分的にはそういうこともあるかもしれないが、設計の手抜きも、日常の検査も秘密につつまれ、事故が起きてもひた隠しにされる「軍事技術」である、という本質はわが国となにもかわらない。いってみれば、原子力という技術は最初から「病気」にかかっていたといってもよい。まったく健全ではないのだ。
原子力の発見から原爆投下、原発の稼動から現在に至る歴史を丁寧に追うことで、この「病気」ははっきりしてくる。
そして、これだけの事故の起こしても、いまなお脱原発への道は容易ではない。それは、核エネルギーは強力な武器であり、だから、どこの国でも「巨大な原子力産業」は権力そのものと化しているからである。
権力者自らが、これを手放すことはありえないのである。
星の王子さま (集英社文庫)
スティルライフの池澤夏樹さんの訳で読みやすいです。
小さなお子さんのいるご家庭はもちろんですが、仕事で
疲れ気味の方や責任ある立場の政治家さんなどにももう
一度じっくり読んでもらいたいお話ですね。
訳者あとがきにある通り、要約には大した意味は持たない小説
ですからそれぞれ読者が感じることが大切でしょうね。
個人的には夜空を見上げる回数が子供の時に比べてとても少なく
なったことに改めて気付かされました。あの時はただボーっと眺めて
いただけではなかったようにも思うのですが。
これからは少しだけ回数が増えそうです。
読み終えてあの王子様に会ってみたくなった方には、スタンリー
ドーネン監督の同名のイギリス映画をお勧めします。
天使ってやはりいるんだとなと思わせてくれる出来栄えだと思います。
ハワイイ紀行 完全版 (新潮文庫)
日本で言えば、幕府の時代からの歴史を知り、
現在を知ると言う観点から、
非常に精査した歴史本。
ハワイを好きになればなるほど行けば行くど、
ハワイの歴史を知りたくなる、そんな意味からも
とても参考になる一冊です。
木下牧子混声合唱作品集
池澤夏樹の詩集『塩の道』から抜粋された5篇の詩で構成されている『ティオの夜の旅』の第4曲目「ローラ・ビーチ」に寄せて・・・・。
とても抒情的な曲です。過去の多くの合唱曲と比較しても比類のないほどの美しいメロディーとハーモニーを持った曲です。池澤夏樹の詩は、海に関わる言葉を印象的にかつ象徴的に並べ、悠久の時の流れをゆっくりと紡ぎだしています。
自然が創り出す神秘の世界をかくも詩的に表わした池澤夏樹も素晴らしいですが、それに流れるようなメロディーを与えた木下牧子により、ハッとする美しさを持った合唱佳曲が誕生しました。ピアノ・パートがその音楽の美しさに彩りを添え、華やかさを増します。ただ、特に、大切な箇所は、ア・カペラで歌われます。このコール・ソレイユは良く歌っています。学生合唱団としては本当に一生懸命で若々しさが溢れています。
それにしてもセブンスやナインスといった複雑で上品なコード(和声)進行が本当に聴いていてもうっとりとするくらいですから、歌う人の気持ち良さはまた格別なのでしょうね。
そして、この「ローラ・ビーチ」に続く終曲「ティオの夜の旅」の圧倒的なスピード感と迫力。木下牧子のお得意の変拍子がここでも効果的に使われています。
ただ、実際、これをうまく歌いこなすのは難しいでしょうね。流石にテノールも地声が目だったり、音程が不安定だったりします。ライブ録音特有のキズもありますが、なにしろそのラストに向けての心の高まりは聴いていても惚れ惚れします。
この4曲目と5曲目の繋がりと対比が『ティオの夜の旅』の魅力を増加させています。それはこのCDでもよく理解できました。
第1曲目の厳粛な雰囲気を称え持つア・カペラの「祝福」と合わせて、この『ティオの夜の旅』が多くの人に愛されている理由がよく理解できます。
演奏の出来は、『方舟』の方が安定していますが、『ティオの夜の旅』も音源としてアマチャア合唱団のお手本になると思います。
ラストの「夢みたものは」は何回聴いてもジーンときますね、本当に名曲です。