悼む人〈下〉 (文春文庫)
「生きるということは、今生きている、という事実だけをいうのだろうか。 生きて死ぬことの先にあるものは、誰かの記憶の中に生き続けるということではないのか。」(『茨の木』)
あんなに泣いたのに、それでも逝ってしまった大事な人々をふと忘れたりして、罪悪感に苛まれることがある。苦しくはちきれんばかりまで膨らんだそんな罪悪感に追われるように、主人公静人は悼む旅を続ける。
余命を宣告された者、愛する者を殺めた者、そして他人の死を生活の糧とする者。彼らが、他人の生を心に刻み続ける静人の足跡を追うように、死と向き合うことで生きることの素晴らしさを見出す。
逝きし人々が心の中で生き続けるという理想を綺麗にまとめた作品ではない。その理想に伴う葛藤が、その理想に対する疑念が、その実現に対する妥協の想いが素直に描かれる。自己満足を自己満足と断じ、偽善を偽善と斬るところにこそ深く考えさせられるものがあった。
理想には理想たる所以がある。それを真剣に追うということは、その全てを手に入れようとすることではなく、削り削って本当に譲れないものだけを研ぎ澄ますことなのだろう。そんな行為の積み重ねこそが「懸命に生きる」ということなのだと問うているようでもあった。
Everglow
泣ける!の一言に尽きます。
ものすごくメロディアスで、ピアノが切ない。
特にサビは圧巻です。
深く、のびやかで優しい感じで。おススメは、収録曲「We're SO Far away」。
穏やかなヴォーカルを生かした、壮大なメロディーとなっていて、聴いても聴いても薄れない、濃い曲です。
スローな曲、スピーディーな曲、どちらも収録されていて、Maeワールドを余すところなく体験できるアルバムです。
物語仕立てのジャケットが美しい。
ジャケ買いでも、買うべし、です。
探していた音楽に、やっと出会えた!と思いました。
永遠の仔〈5〉言葉 (幻冬舎文庫)
児童虐待がテーマで
涙なしでは読めない作品。
ハッキリ言ってすごく重い作品。
その他にも、アルツハイマー、介護問題、等
決して他人事ではない問題も描かれていて。
こういう話、今の時代
きっと現実でも起こっているんだろうなぁ…と思うと
哀しくて辛くて切なくてたまらない気持ちになってしまう。
かなりの長編だけれど
感情移入してしまうので、全然長さは感じず
一気に読み進むことができた。
読み進むうちに
10年ぐらい前に見たドラマのシーンが
頭の中に浮かんできて
ドラマの内容なんて忘れていたはずなのに
それぐらい印象に残ってた作品だったのか、と驚かされた。
後書きに書かれていた
「子」ではなく「仔」にした理由。
それを読むと、また涙があふれてきた。
「優希」も「笙一郎」も「梁平」も
本当に存在していたような錯覚に襲われる。
本編の最後の2行
声を大にして3人に伝えてあげたかった。
もう一度見てみたくて
ドラマのDVD借りました。
またじっくり観直そう。