アホは神の望み
著者は学者ですが、とてもやわらかくて読みやすいです。業績を上げるためには、努力や才能も必要ですが、「幸運」も必要です。そして、幸運を引き寄せるのは、小賢しさとは対極にある「愚かさ」、ひらたくいえば「アホさ」だと説きます。ここでいうアホさ・・は非効率で愚直なのに一点に心を定めつづける意思、みたいなものです。
小利口に目先の利得に走っても、それでえられる(かもしれない)ものはその小さな利得にすぎません。しかし、アホが回り道をしながらテクテクと歩いていくと、いろいろな経験をし、それが思考や人間の幅を広げていき、結局は大きな利得にたどりつくのかもしれません。考えてみれば、世界的な業績のほどんどは、それがなされるまでは「アホの試み」だったのかもしれません。そして、そのアホの業績は、いつしか社会システム(コンセンサス)になっていきます。
ゆったりとした気持ちになれる、とても気持ちいい本です。
天使な小生意気 〔ワイド版〕10 (少年サンデーコミックススペシャル)
この作者の他の作品にも言えることですが、
後少しで名作になれたのに、なりきれなかった、そんな作品です。
できれば、昨今の少年漫画のルールに縛られずに、この方はもっと抑制された作品を描いてほしかったです。
この人の作品は基本、青年誌、少年誌、少女誌の中間をふわふわ漂っているものが多くて、
それが、この作者の人気の所以であり、欠点でもあると思います。
ジャン○的な作品はいくらでもありますので、
こういう作風で書くことが許されているのであれば、作者にはもっと突き抜けて欲しかったです。
作品についていえば、
キャラクターは魅力がありますし、
お話も、さりげない伏線を作中に張り巡らしているので、読むたびに新しい発見があります。
ギャグも個人的には笑えました。
ただ、表紙のヒロインの画とタイトルのせいか、レジに持っていくのが恥ずかしかったです。
特に前作のファンはそうだったのではないでしょうか。
けれども、内容は普通の少年漫画です。
お色気、サービスは無いので女性の方にもお薦めできる作品だと思います。
(後、力量ある脚本家がいれば、大胆にアレンジして、
ドラマ化や(女性向きに)再アニメ化しても面白いかもしれません。)
天に堕ちる
どの物語も、読後に、切ない気持ちになった。でも、どの話も、実際に身の回りにありそうな事柄で、とても他人事とは思えない。人間誰しも、ここにいる主人公達になりうる可能性があるのではないかな。唯川さんの著書は殆ど読んでいるけれど、この本も、少しずっしりと重たい本だった。