バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻
どちらかというと技巧的な演奏や色っぽい演奏が好きで、ポリー二の演奏は生真面目とやや敬遠気味だったこの私が、しかももっぱらロマンチックな音楽や印象派が好きでバッハは苦手、と思っていたこの私が、聴き始めて間もなく、すっかり虜になってしまいました。
まず美しい音に心地よさを感じ、段々とその究極のシンプル美とでもいうような美しい音の繰り返しと重なりにハマり始め、ついには飾らない、わざとらしさのない、誠実でまっすぐで真剣な、そして気迫ある表現に、背筋を伸ばして聴かずにはおれないくらい、本気で虜になりました。
ポリー二の平均律、本当に素晴らしいです。
ベスト・ピアノ100
「ビギナー向け」との評価が多い本コンピレーションですが、むしろ、マニアや年季の入ったクラシック・ファンにこそおすすめでしょう。「調子のよい鍛冶屋」「かっこう」「夢」など、名曲なのにあまりすすんで聴く機会の無いものが揃っているのも◎。
ただ、長尺曲の一部抜粋形式だけは何とかして欲しかった・・・。
ピアノ協奏曲第3番ハ短調 作品37 [DVD]
高いが、DVD2枚組みでボリュームたっぷりである。ベームの指揮姿はなかなかかっこいい。無骨だ。
ブラームスのピアノ協奏曲第2番はこのDVDではじめて聴いたが、第1番のほうがよほど良いと思う。アバドの指揮や、ポリーニのピアノがわるいのだろうか?
「皇帝」は曲のきらびやかさを損ねず悪くないと思った。
ショパン:12の練習曲 作品10/作品25
一流の演奏家は皆、ショパンのエチュードを華麗に弾く技術を備えている。しかし、その中でもポリーニの演奏は飛び抜けて美しい。寸分の狂いもない機械のような演奏だが、まぎれもなく人間の演奏なのだから、人間はここまで正確になれるのか、という驚嘆の気持ちにもなった。正確であることの美しさ、それを感じられる演奏だ。
Chopin: Etudes Op.10/Op.25
いろいろな演奏家がショパン・エチュードを録音しています。アシュケナージの詩情溢れる演奏も良いですし、小山実稚恵さんの溌剌とした演奏も捨てがたい。でも、やっぱりポリーニのこのCDは別次元の素晴らしさです。
若きポリーニの特質であるクリスタルのような輝きを放つ音色、完璧なテクニックによるスピード感あふれる表現、強靭な筋力から生み出される迫力のあるフォルテ・・・どれをとっても完璧な演奏です。
このCDがレコードとして発売された当初の宣伝文句「これ以上、何をお望みですか?」は現在も変えようがないのです。