オーガスタに花を (ハーレクイン・イマージュ)
「美は見る者の中にある」。
このドクターの言葉に、この物語の全てが集約されています。
「美」というものは、個人の主観によるものであって、必ずしも余人と共有できるものとは限りません。
ドクターが、にんじんのような赤毛のオーガスタのことを「かわいい人」と呼ぶときは、からかいではなく、それがドクターの見たまま&感じたままの素直な呼びかけなのです。
ですが「一般的な美人ではない」オーガスタにしてみれば、ドクターはハンサム、そのドクターの後見人もびっくりするような美人さん、どうして自分に焦点があてられるのか納得できていません。
それが、読み進むうちに、「このヒロインは卑屈すぎるぞー!」「素直になれよー!」と、もやもやイライラしてきます。
人の言葉を信じることは難しい、そして、自分の心を信じることは、更に難しい。
この物語を読んで、そう思いました。
読者が「このドクター、ヒロインに最初っから惚れまわっとるやんけ」と断定できるほどに、ドクターはオーガスタのことを「かわいい人」「いとしい人」と呼び、チューリップの大きな花束を贈ります。
とてもとても分かりやすい。
なのに。
肝心のヒロインは、ドクターのことを好きなのに、自分のことに自信が持てず、ドクターのことを疑ってばかり。
嫉妬まみれ。
そのうちに読み手側はイライラしてくるのですが、そこで、「ちょっと待って」。
自分のことを考えると、おや、なんとなく、ヒロインの気持ちがわからんでもないような。
ドクターへの愛を認め、そうしてようやく、オーガスタはドクターの言葉を信じることになります。
一冊まるごと、ヒロインのオロオロ&オタオタ&ウダウダ…。
なーんて遠い道のりなんでしょう。
だけど!
これぞ、ベティ・ニールズ式等身大ロマンス。
読んでいるうちは「うがーっ」と歯がゆくなっておりましたが、読み終わった後、ああ、そんなロマンスって、もしかするととてもよく理解できるかも、と納得してしまいました。
あーだこーだととことん悩める、それが恋ってもんですよネ。
にんじんのような赤毛のオーガスタ(23歳)看護師さんと、金髪のハンサムな大男のコンスタンティン(33歳)医師の、とてもとても辛抱強いロマンスです。
チューリップの花の美しい物語、いかがですか?
おひさま~大切なあなたへ
平原綾香の ひさしぶりの新曲は、
NHK連続テレビ小説「おひさま」の主題歌。
メロディーはたいへんやらかいですが、
平原綾香のボーカルが曲に載ると、
一気に雄大、荘厳な曲に変わります。
この曲のクラシック的な世界が大好きです。
サビの部分に至る、
声量の変化が迫力満点。
じっくり聞くと心が洗われます。
岡田有希子 All Songs Request
生前岡田さんにはあまり興味がなかった。歌にしても「二人のセレモニー」をラジオで録音したぐらいか。でも長い月日を得て岡田さんの歌を聴きたくなった。こんないい歌を歌っていたのか、こんな心に残る歌声だったのか。聴いてると何故か切なくなってしまう。