東京マラソンを走りたい ギャグ漫画家 50歳のフルマラソン (小学館101新書)
漫画を読まなくなって10年余、書店の新書棚を散策してたのだから、頭の中は鳩山政権の金融政策は何とかならんのかーとか時事放談モードだったはず。まさかそんなときにキクニの名前と再開するとは!おいおい、ほんとにあのキクニか?ヤングサンデー史上不朽の名作「傷天」の天才キクニが走ってるのか?これが予期に反して本気(マジ)であり、予想以上におもしろい。もちろんオレも走り始めたぜ〜!
月光の囁き ディレクターズカット版 [DVD]
いうまでもなく原作は喜国雅彦の同名コミック(小学館ヤングサンデーコミックス/全6巻)で、主人公は剣道をする一見普通の男子高校生。しかし、彼は好きになった女の子の「犬」になりたいという衝動を抑えきれずに、せっかく成立した「普通の恋愛」関係を壊してしまう。そのマゾヒスティックで「変態」的な行動様式に説得力とリアルさがあり、いったん壊れたふたりの関係がどうのような軌跡を描いていくかが主題。描写にすごく緊張感があって、作者はよく心の動きをつかんでいると思う。そういう漫画だが、映画は、原作のエピソードをかいつまみつつ、若干登場人物を整理して、「うまく」創っていると思う。
恋愛においては「変態さ」みたいなものはいわば<つきもの>であって、それを過剰(ホンモノの変態)になる一歩手前のところで思春期的「痛み」や「甘酸っぱさ」に回収している。悪い意味でなく、良い意味で。主題歌のスピッツ「運命の人」というのがそれを象徴している。逆に言えば、スピッツ=草野マサムネ的「変態さ」がしっくりこないひとには、原作漫画もこの映画もわからないかも知れない。「わかる/わからない」といったら、少しイヤミないいかたになるけれども、映画の最後にこの主題歌が流れることでじわっと涙が出てくるような映画だと思う。ただ、漫画に比べて、主人公への感情移入を誘わないところがこの映画にはあって、それはなぜだろうと思う。
大聖堂 (中) (ソフトバンク文庫)
私は趣味でローマ・カトリックの研究をしているのですが、とある本屋でこの作品を見つけて、初めの方を見てみたら面白そうだったので買いました。
物語は12世紀のイングランドを舞台に、大聖堂を建てることを夢見る建築職人のトムが放浪の末にキングズブリッジという土地に落ち着いて大聖堂建築に着手するというのが大筋なのですが、先程書いた建築職人のトムを始め、修道院と大聖堂の再建に情熱を燃やす修道院長、立身出世のための権謀術数を張り巡らす司教とそれに荷担する領主、その犠牲で親を殺され、必死で家名の再興を図る姉弟など、様々な立場の登場人物の夢や欲望が大聖堂を巡って入り交じります。
もちろんそういう愛憎劇だけでなく、ちゃんと大聖堂建設の現場もきめ細かく描写されておりまして、文章を読むだけで棟梁が図面を引き、作業を指図し、職人や人夫たちが働いている様子が生き生きと頭に浮かんできます。専門的な用語についても素人にも分かるように説明がされていますが、それでも大聖堂について説明している本を読んで多少の知識を付けてから読んだ方がより内容を楽しむことができるでしょう。
本棚探偵の生還
ファン待望の第三弾です。内容は読んでのお楽しみという事で。今回も箱付き2冊本、月報が豆本に、と、実にマニア心をくすぐる内容で良かった良かった。本棚に3冊並べると古本という感じで見映えもいい。黄、青、赤と3色ならんでいます。本は装幀や造りも大事ですからね。担当の編集者の方、製本の会社の方がたいつもご苦労さまです。