ビゼー:歌劇≪カルメン≫ウィーン国立歌劇場1978年 [DVD]
1978年12月9日、ウィーン国立歌劇場でのプレミエ上演の映像のDVD。演出・舞台・衣裳は、フランコ・ゼッフィレッリ。カルメンにオブラスツォワ、ドン・ホセにドミンゴという布陣である。
結論から言おう。この『カルメン』より素晴らしい『カルメン』は無い。クライバーは、レパートリーを極めて少なく限定し、リハーサルの時間をチェリビダッケに匹敵するほど、つまり通常の倍以上多く実施し、自分の意に沿わないとわかった仕事は即止めるというスタンスを貫いてきた。それがなければ自身の考えるものはできないと思っていたのは容易に想像がつく。そういう人間がオペラのように多くの要素をあわせ持った作品に『良し』を出したのである。クライバーの『良し』が出ないが故に屍になったり、海賊盤になった録音がどれほどあるか想像もつかない。
実力のある者たちが本気でやるとどんなものが出来上がるか、この『カルメン』はそういったものを眼で観ることができる稀有な経験を与えてくれる。そして何度観ても、これ以上の『カルメン』は、ない。未来永劫出てこない。そう思ってしまうのだ。
夜と霧 新版
どうしても旧版と比べられてしまいますが、改訂された原書の翻訳ですから、単なる改訳だと思ってはいけません。旧版も絶版にはなっていないようですので、ともに存在価値があると思います。
さて、この機会に旧版ともども一気に読みました。
比べるつもりはないものの、やはり「差」は感じます。それは出版された時代背景についてです。
ホロコーストそのものについての情報が乏しかった旧版の時代と、それらを予備知識として前提できる今日との差は、あきらかにあるようです。それをもって旧版は重く新版が軽いと言っては正鵠をえていないでしょう。この本は、悲惨な状況を冷静にかつ客観的に書いています。決して、悲惨の原因を糾弾することではなく、淡々と書いていることが印象的です。
その雰?気を、新版もあますところなく伝えています。旧版に比べて軽いと感じるとすれば、それには読みやすい文体が寄与しています。原著もこんな「感じ」なんだろうと、私には思われます。
いのちの食べかた [DVD]
子供の頃に親父が庭で絞めた鶏が、その夜鶏肉として食卓で出されたとき口にできませんでした。
日々口にしている豚肉が元々は豚であり、牛肉が牛であることは知っていながら今の子供は現実としてそれを知らないと思います。実際に生き物を殺した後に人間がおいしいといいながら肉を食べているという当たり前の事実を学ぶための最高の教材だと思います。
他のレビューにも書かれていますが、原題はOur Daily Breadですので、肉だけではなく野菜や塩なども出てきます。
すばらしいドキュメンタリーです。