三つ目がとおる(4) (手塚治虫文庫全集 BT 38)
この巻は、「怪植物ボルボック」という長編が収められています。
一言で言うと、植物が人類に復讐する物語です。
過去、三つ目族は、この植物によって滅んでいます。
日本の子供達は、手塚マンガで、地球環境問題を学んだのではないかと思います。
人間は、植物に依存しています。人間の食料は勿論、生きてゆくのに必要な酸素も植物が供給してくれています。
しかし、人間はその有り難味を知りません。森を切り刻み、川を汚染し、植物を追い詰めています。
このままでは本当に人類は植物の復讐を受けることになるぞ!という警告が発せられています。
地球環境問題が取りざたされるようになってきたのは、20世紀の終わり頃からです。
それは、こういった啓発書の積み重ねによって普及していった知識ではないでしょうか。
日本マンガ界が果たした役割は圧倒的に大きかったと私は思っています。
神罰―田中圭一最低漫画全集 (Cue comics)
知らずに見たら、手塚治の未発表作品集かと思うほど、画力は完璧。
人物だけでなく、効果線や吹き出しの配置までソックリ。
そのへんが凡百のパロディと一線を画しているところ。
でも、ことごとく下ネタ、下ネタ、下ネタ。そのやりっぱなし感はすさまじい。
こんなこと書くためにこの人メチャクチャ努力したかと思うと涙が・・・。
永井豪もいいけど、ツッコミどころだけ出てくる本宮キャラがすてき。
三つ目がとおる(8) <完> (講談社漫画文庫)
この作品で、虫プロ商事の倒産や劇画台頭等の影響からスランプに陥っていたといわれる手塚治虫さんは完全復活しました。
その最終巻は、古代鳥モアの物語です。
かつてニュージーランドに生息し、絶滅してしまった巨大な鳥が写楽と友情に結ばれます。
この古代鳥をめぐって舞台は、メキシコへ。
マヤ文明の遺跡に古代鳥の姿が残っていました。
「絶滅」という言葉がキーワードのような物語です。
かつて繁栄を誇った文明も生物も三つ目族も滅んで今はいません。
今、繁栄している現代文明がこの先子孫に残せるかどうかは、我々次第です。
手塚治虫さんは、この作品を通してそのことを私達にずっと投げかけていたと思います。
読み直していて気がついたのが、「三つ目がとおる」の後半に入って、写楽へのいじめが強まっていったのではないでしょうか。
この巻でも、絆創膏を貼っている写楽へのしごきは相当過酷です。
連載当時、中学校では、校内暴力が明るみに出た頃であったということを思い出しました。
写楽への暴力が激しくなっていったのはそのことと関係あるのではないかと推測しました。
読み返すたびに新発見があります。
三つ目がとおる(7) (手塚治虫文庫全集 BT 41)
写楽の“第3の目”が潰されてしまう!?養父の犬持博士が悩みに悩み、写楽の将来を考えて大決断する。和登さんは大激怒、何とか思い止まってもらおうとするが……。そんな時、写楽が偶然見つけた遺跡を1人で発掘。地下に埋葬されていた古代人の魂から、遺跡と財宝を盗掘者から守ってくれるよう依頼された。写楽は使命を果たし、第3の目を守ることができるのか!?
この巻を読んで写楽がやっぱり子供時代の手塚さんの反映なんだなって実感しました(理由は呼んでみればわかると思います)。読んでて思わずキャラクターに感情移入してしまう話だったと思います
ミニコミ 手塚治虫 漫画全集 Vol.1 200巻 特別限定セット BOX
これだけすべて集めるのは正直個人的には大変。
また、文庫本サイズでも場所をとる。
ということで、従来の豆本としてではなく読めるぎりぎりのサイズなんだろう。
紙質については、この価格でこの巻数しかも限定ということを考えると
少々質が落ちるのは仕方ないかも。紙が非常に薄く裏写りが激しいのが残念。
長期間の保存に耐えるかは疑問。
これ以降シリーズがでることも考えると部屋に置くにはなんとか収まるサイズだと思う。
内容に関しては「リボンの騎士・少女クラブ編」や「ロストワールド」などが
入っているのがうれしいが、「アドルフに告ぐ」が無いのが残念。
次回に入るのは期待。