レッド・バロン [Blu-ray]
2008年度ドイツ作品。
第一次世界大戦のドイツのエースパイロット、リヒトフォーヘン”通称レッド・バロン”の半生を描いた作品です。
日本での上映は限定劇場にて上映期間は僅か2週間ほどと厳しいスケジュールでしたが、何とか劇場で観ることが出来ました。
本作は当のドイツで厳しい評価を受けています。
空中シーンはすべてCGなので、動きがSFっぽくて嘘くさい…とか、脚色のために史実が書き換えられている…とか。
確かにとも思います。
空戦シーンは”複葉機ってあんな飛び方できるのか?”と突っ込みたくなるシーンがあり、
ストーリーの要であるレナ・へディ演じる看護婦は架空の人物なので、リヒトフォーヘンが彼女と恋仲であった、そして彼女の影響を受けた…ということはありません。
また、仲間と共に死を願っていた…という下りも想像(脚色)です。
つまり、リヒトフォーヘンをベースにした物語ということですが、私はこれはこれで良いと感じます。
例えば「アマデウス」にしても「恋に落ちたシェークスピア」にしても「ベートーベン」、その他多くの作品が同じ趣向で作られています。
映画はエンターテーメントなので、史実を正確に映画化する責任はありません。
戦争の英雄としてドイツのプロパガンダに利用され、兵士を死地へと追いやり、仲間を次々と失っていく主人公。
教官としての優遇された立場を与えられながら、最後は自ら戦場へと向かい、仲間と共に死ぬことを望む…。
この展開って百田氏の「永遠の0」に似たものを感じます。
実際にリヒトフォーヘンがどういう気持ち(本音)で戦っていたのかは本人しか分からないことです。
ハリウッド的な戦争映画と違って、本作品では戦闘シーンはほとんど出てきません。
宿敵を倒すシーン、仲間が戦死するシーン、そして主人公が戦死するシーンさえ映像としては表現されません。
文学的な要素が強く、明け方に佇む兵士の姿など場面場面の映像が非常に美しいです。
第一次世界大戦の大量破壊兵器の登場とそれまでの騎士道精神で戦い続けようとするリヒトフォーヘンの死。
歴史の転換点が始まる…そんな時代の映画でした。
音楽も美しく素晴らしいのですが国内でサウンドトラックが発売されていないことが残念です。
尚、本作はドイツ作品であっても作品は英語で撮影されました。
個人的にはドイツ語で撮影して、英語吹き替えで良いと思うのですが、世界に広く鑑賞してもらいたいという製作者達の希望だそうです。
国内版には日本語吹き替えの表示がありませんが、英語字幕だけ…なんてないことを期待します。
シルバー仮面・アイアンキング・レッドバロン大全―宣弘社ヒーローの世界
表紙だけみれば日本現代企画の製作した特撮ヒーローの特集本のようですが、実際はタイトルどおり宣弘社作品の特集本です。宣弘社・小林会長のロングインタビューを始め、「アイアンキング」のスタッフ、出演者へのインタビューを収録。特に石橋正次のインタビューで現在の顔写真を掲載してますが、この変貌ぶりは見たくなかったですね。(それに比べて浜田光夫の余り変わっていない事。)ただ、1ファンとしては「シルバー仮面」の実相寺監督や出演者の柴俊夫、篠田三郎などのインタビューが収録されなかったのが非常に残念です。後「闘え!ドラゴン」に多くページを割いていますが、これはこの本が発売された時期にDVDボックスが発売された為と思われます。その為に主役の倉田保昭のインタビューが収録されていません。(ただし、レギュラー出演者の三谷昇のインタビュー掲載)それから誤植で「アイアンキング」の放映リストの放送日に「闘え!ドラゴン」の放送日を掲載しています。(「闘え!ドラゴン」の放映リストの放送日は合っている)