海街diary 4 (flowers コミックス)
4巻目の「海街diary」は、末妹のすずが中心。
これまでの作品より「ご当地色」は薄れているので(でも田舎が江ノ島の私には懐かしいところが沢山あるのだが)
場所がわからない、というひとにもすんなり読めると思う。そして日本古来の文化にも触れることができる。
今回はすずが所属するサッカーもでてこない、普通の人間模様。
多感な年頃のサッカー仲間たちの仲間へのいたわり、
今まで影のうすかった(でもひょうきんなキャラの)スポーツ店店長の過去「ヒマラヤの鶴」
そして私が泣いたのは、なんといっても「おいしいごはん」。
どんなひとにも、その料理がひとにはまずくてもジャンクであっても忘れられない味があるものなのだ。
そのひとと一緒にいて楽しいかどうかは、「ごはんを共有できる」ことにあるのではないかと思う。
著者はその心のひだの書き方が実にうまい。
年齢的に、時期的に次作ではまた違った展開が見られるだろう。
吉田作品にしてはスローなテンポで進むストーリー展開が、心地よい。
バナナフィッシュ(1)
吉田秋生の名作中の名作『バナナフィッシュ』のオーディオドラマ版。
だいぶ以前にNHKFM「青春アドベンチャー」で放送していたもので、もう何度も再放送されています。
通常月〜金の1日15分放送で2週間が平均なのですが、これは異例の6週間放送でした。
もちろん原作同様に濃い内容で、麻薬あり、少年売春あり、ドンパチありのハードな展開で、放送用語禁止ギリギリなストーリーを、よくまあNHKさんが取り上げたものだと感心していたものです(苦笑)。
原作から入ると自分が予想した声と違うとか、色々とギャップがあって不満に思う方もいるかもしれませんが、このラジオドラマの脚本はなかなか良い出来だと思います。
原作が大作ですから、どうしても時間の都合上カットしなければならない場面が出てきてしまうのですが、カットの仕方がそれほど不自然でなく、原作の流れを尊重した仕上がりになっています。
演出上、原作にはないオリジナルのセリフも追加されていますが、それがまた悪くないンです。
これなら原作ファンも納得なのではないでしょうか?
確かに主人公アッシュの声が少年にしては大人過ぎるかな、と感じるかもしれませんが、演じていらっしゃる古澤徹さん、とても雰囲気に合っていて、演技も含めて私は気に入っております。
アッシュの親友・エイジをベテラン声優の井上和彦さん、脇を古田新太さんや佐々木
蔵之介さんなど実力派舞台俳優がかっこよく固めるとゆー、今では大変豪華な配役。
特に佐々木さんの悪役ぶりはスゴい。もうノリノリです。もともと舞台役者ならでは発声をする方なので、オーディオドラマだと映えますね。
CD版はラジオ放送と若干異なるBGMが使われており、また挿入歌(ちょっと切ない……)がついています。
怪談新耳袋劇場版 幽霊マンション [DVD]
ホラーのショート・ショートを集めたミックス、という
点では、この幽霊マンションは、みんなが思っている
「新耳袋」とは、ちょっと違います。
でも、舞台は、愛ちゃんが行方不明になってから
のろわれ続けるおんぼろマンションで、住人たちの苦悩と
恐怖が次々と・・ということでは、オムニバスにはなっています。
お話として、怖がらせる、というよりは、前半は、このマンションの
闇のルールの謎解き(住人から明かされていきます)、後半の
愛ちゃんのノロイとは何か?というような、一種、謎解きで観客
を引っ張りながら、最後の落ちにもっていく、という、悲しい怨念
のお話。
特に目をひくのは、主演の黒川芽衣ちゃんの演技力のよさで、
彼女の才能と情熱が、父親役の吹越の怪演とあいまって、この
低予算映画ながら、怖い雰囲気を盛り上げています。
ホラー好きな方は、見て損はしないと思います。
マンションから出られない若い夫婦が食べるものが底をつきる
シーンは、かなりブラックな笑い。
YASHA-夜叉(1) [DVD]
原作が大好きなのですが、レビューで、絶讃とその反対の両方があったので購入をためらいましたが、レンタルがなかったので思い切って購入しました。オープニングからがっかりでしたが、(rubber gloveもしないの?)話が進むにつれて、原作とは別物と思えばよいのかなと評価を変えました。予算などのからみがあって原作ほど大がかりにテレビ化するのはむずかしいのでしょう。「テレビ版夜叉」の役者さん達の演技に高い評価をあげたいです。原作を愛して止まない人は、見ない方がよいかもしれません。
海街diary 2 (フラワーコミックス)
鎌倉の古い屋敷に暮らす香田家の姉妹。幸、佳乃、千佳の三姉妹に、山形から来た異母妹のすずが加わり賑やかな毎日。
すずもようやく鎌倉での生活に慣れ、風太や裕也など仲の良い友人も出来た。
ある時すずは、謎多き佳乃の元彼・藤井朋章の素性を知るのだが…。
コミックス派なので新刊が出るのを待ちわびてました♪
今回もすずを中心に家族の在り方、大人達の複雑な人間関係、思春期の多感な子供達のやり取りが丁寧に描かれています。
一話完結で切なくも温かいエピソードが詰まってます。どれも良い話ですが、個人的には『花底蛇』と『真昼の月』が好きです。
『花底蛇』は、すずと朋章のお話。前巻ですずは、朋章が怪しい男にお金を渡している現場を目撃。
心配からか、はたまた子供らしい好奇心からか、朋章の事が気になるすずは彼と接触するのだが…。
すずの行動力はスゴいですね。朋章を問い詰めるのに海の中まで入っていくとは(笑) この場面には笑ってしまいました。
すずと朋章の会話シーンはシリアスだけど微笑ましい。お互いに通ずるものがあるのか気が合いそうな二人です。
『真昼の月』は、香田家の長女・幸のお話。保護者のいなくなった家で妹たちの母親代わりを務める幸姉。
幸たちの母親は夫と離婚後、娘たちを鎌倉に置いて別の男性と再婚。その母親が亡き祖母の法要のため鎌倉に帰って来る事に…。
親子だからと言って分かり合えるとは限らない。血が繋がっているからこそ許せない事もある。
いまだに母親を許せない幸ですが、母のほうはあまり罪の意識を感じてなさそうな…(笑)
姉妹の母親は、ちょっとKYで天然な可愛いオバちゃんといった感じ。
私はもっと我儘な人を想像してたので、思ってたほど嫌な女性には見えなかったですね。
すずが自分の母親がした事を詫びるシーンが切ない…。ワケありの男性と付き合う幸の恋の行方も見逃せません。
今回は朋章を初め『ラヴァーズ・キス』キャラの出番がたくさんあって嬉しいです。
尾崎家の美樹ちゃんも隅々に登場してます。緒方兄や里伽子たちの登場はまだかしら? 楽しみに待ってます♪