決定版 まんが日本昔ばなし101 (幼児図書ピース)
30代のお父さん、お母さん、子供の頃土曜日の夜7時と言えば”日本昔ばなし”をご覧になっていたのでは?テレビを見る時間が厳しいおうちでもこれは見せてくれたという話をよく聞きました。さて、自分も子供をもつようになり、やはり定番の昔話を教えたくて購入したのですが私は懐かしく、子供は真新しくお互い興味津々で読んでいます。子供は三歳なのですが、さるかに合戦では母がにが猿にやられるシーンでは涙ぐんだりしていました。三歳でも三歳なりに感じ取っているんだなぁ、と感動してしまいました。是非みなさんも親子そろって読んでみては。
四雁川流景
四雁川周辺に暮らす人々の物語の短編集である。それぞれ独立した物語であるが、登場人物は皆その土地に深く関わって生きている。
人生は思いがけないことが起こる。人の心の中はわからない。その哀しみや切なさをどう受け止めればいいのだろうか。仕方がない、とあきらめていくしかないのだろうか。七つの物語のどこにも大げさな励ましや癒しなどはない。ただ、僧侶である玄侑師の深いまなざしによる静かな慰めがある。それは暑い夏の日に、ふと頬をなでて通り過ぎる微風の優しい涼しさのようだ。そのような密やかな、偶然に訪れるものに慰めを感じるとき、どんな人生も愛おしく肯定したいものとなる。最終話に、玄侑師の前著『アミターバ』を髣髴とさせる光り輝く美しい死の象徴的なシーンがあるが、それは人生や死の「美化」ではなく「荘厳」である。
また、第四話に登場する絵は(明記されていないが)幕末から明治に活躍した河鍋暁斎の作品に間違いないが、この絵師と玄侑師の思いが見事に重なり昇華している。
これほど心をこめた祈りのかたちを、私はほかに知らない。