阪急電車
電車の中で起こる人間交差の話し。
一駅目までに男女が出会い、
次の駅に着くまでにはそれを見ていたOLの話で、
その次はその女性を見ていた孫とおばあちゃん。と、
車内の人たちを語り次ぎながら、
ちょっとしたことで、人生の転機をむかえていく様が面白い。
折り返し後は、知りたいその後がわかりスッキリとしてくれる。
見ず知らずの他人に話しかけたり、アドバイスしたり、
首都圏の電車では考えられないけど、関西圏ではありなんですね。
(一度吉本の楽屋かと思うような車両に乗ってしまいビックリした事があります)
女目線の等身大の女達がいいです。
暴力男はよく見るタイプですが、それ以外は理想的すぎて、、、
女子高生に据え膳されて食べないなんて絶滅危惧種でしょう(笑)
女性がこんな男性像を求めているという良い見本ですね。
でもとても面白く、和書の中ではかなりお気に入り度の高い一冊です。
お金で騙される人、騙されない人 (幻冬舎新書)
副島さんの久々の新刊です。大きなお話を期待していたのですが、今回はそれはお預けです。前作(ドル亡き後の世界)では、「冬季五輪の後のアメリカの暴落とその後の一時持ち直し、そして秋以降の株と米国債の暴落、そして60円への円高ということになる。日経平均も5000円を一瞬割る。」との予測がなされていましたが、そのシナリオには変更がないことが、本書でもたびたび示唆されています。現実はというと、欧州の方から予想もしない援軍が副島さんに来たようです。
本書では、現代の世相が詐欺や騙しという角度から描写されます。著者の言うとおりです。投資はもとから個人投資家は必ず損失をするように仕組まれているのです。ただそのワイプアウトのスピードが速くなっただけです。そして「騙し」の洗練度合いが進んだだけなのです。銀行のドアをくぐれば、そこには80年代前半までの「銀行員」はいません。そこにいるのは、ただの高等詐欺師なのです。まともな大人は、相手の「顔としゃべり方」を見ればすぐわかるはずです。
「投資」を避け預金という形で、元本の損失を避けることは表面上は可能です。しかしソヴリン・リスクが表に出てきた中では、より大きな仕組みの中で、この預金も別のリスクを抱えざるを得ません。それはインフレと税金です。この二つはたとえ本書で取り上げられた「投資」を避けても、長いレンジでは必ず庶民を襲ってきます。副島さんもこれにはもう気付いているようです。何をしてもしなくても庶民は必ず負けるようにこの世の中は仕組まれているのです。
個人にとっては、後は負け方の流儀の問題なのです。どう生き恥(消費者生活センターに駆け込むことなく)をさらすことなく、負ける運命を甘受してこの世から消えていくのか。この諦観と潔さが、詐欺のターゲットとなっている団塊の世代には欠落しています。