イギリス王室物語 (講談社現代新書)
著者は別に歴史家ではないし、そもそも数名の王/女王を選択して新書
に収めること自体に多少の無理がある。しかしそこは著者自身が最も
よく承知していることであって、前書きや後書きで筆者は必死に弁明
していることからもそれがうかがえる。
本書は、日本人にとっては、身近なようでいてアメリカ傾倒のためか
遠い場所でもあるイギリスの王/女王のなかから、特徴的な人物を数人
選んで、紹介するものである。文体は話し言葉に近く、すいすい読める。
この本の特徴は、スキャンダラスな側面を多く描写しているということ
である。ゲイだったとか、金遣いがものすごかったとか、女遊びばかり
していたとか、そういったゴシップ的な物語である。もちろんそういった
面は、君主たちの一側面に過ぎないけれども、個性的な王たちと民衆の
支持との関連性はそれぞれで、おもしろい。放蕩息子イコール人民の
非難、とは必ずしもならないのである。
薄い新書にまとめたので、王/女王ひとりあたりのページ数が少ないの
が残念。
巻末には参考図書が紹介されている。オックスフォードの王室逸話集
などは、是非チェックしてみたいと思った。
恋か王冠か―英国ロイヤル・ファミリー物語
人妻である女性との恋のためにイギリス国王の王位を捨ててしまった王がいる。これは王冠か恋かと人々に噂されたイギリス国王エドワード8世とアメリカ人のシンプソン夫人とのノンフィクションの恋の物語です。
ジョージ5世の長男として生まれたエドワード8世は、「プリンス・チャーミング」としての史上空前の人気があり、おしゃれで華やかな皇太子でした。(ネクタイのウィンザーノット結びは彼がはじめたそうです!!)
そのエドワード8世が、ウォリス・シンプソンと激しい恋に落ちます。彼女はアメリカ庶民で1度の離婚歴があり、なんと、ユダヤ系実業家シンプソンの妻だったのです。イギリス国王であるエドワード8世に、「王位を捨てもいい」とまで愛されたウォリス・シンプソンは一体どんな女性なのか!…。
グレースケリーと並ぶシンデレラストーリーでありながら、
題材とした本が少なくて探しに探した中の1冊です。とても興味深く、一気に読んでしました。皆さんもウォリスの謎に浸ってみませんか?