JAYWALK MTV Premium Live in duo [DVD]
これは日本屈指のライブ・アクトを披露するバンドのライヴ映像である。ライヴ・ショウとしての完成度、楽曲の幅の広さ、メンバーの技量の高さなど、どれを取ってもハイレベル。
クライシス解散以降の原田は、まずバンドそのものの音の弱さがネックだった。そのため魅力が半減し、おのずと活動の場は限定され「失速」という解釈をされてしまった。しかしここに登場するニュー・バンドは違う。まずドラムとベースのリズム隊の堅牢さ。タイトなドラムとマーカス・ミラーの影響を強く感じるベースが非常に良い。この2人に原田のギターを加えたトリオ編成でも充分なくらいなのだが、これに女性サックスとキーボード&コーラスの女性を加えた5人編成がこのバンドだ。かつて原田のバンドにはサックスに現・上田正樹夫人の朝本千可がいたが、このバンドのサックスは朝本ほどの力強さはないものの奏でるフレーズはツボを得ており、これからが期待されるプレイヤーだ。また原田のギターはプリンスの影響を感じるフレーズと重厚な音を披露する。彼をギタリストとして見る人は少ないと思うが“シンガーがギターを弾く”という程度のテクニックではなくかなりの腕前だ。ただ、楽曲によっては原田がピアノに廻る場合がありこの時ギターは不在になるわけで、この時にバンドの音が薄くなり楽曲のメリハリが消えてしまうのが残念だ。なぜなら原田のアレンジは案外決めが多いため、リズム隊とサックスだけでアクセントを付けようとしても流れてしまう。「雨のハイウェイ」などはその典型。サポートのギタリストをもう一人欲しいところだ。
しかしこのニュー・バンドを従えた原田は復活の足がかりを得たと解釈する。いよいよ、彼がデビュー当時から言っていた海外進出も見えてきたのではないか。このバンドとダンサブルなライヴ・アクト、そして珠玉の楽曲群をもってすれば、海外でも高い評価を得られるものと信じたい。
ライブ帝国 J-WALK [DVD]
「ライブ帝国」シリーズで、ついにJ-WALKも登場です。
デビュー直後の映像です。彼らは今も息長く活動していますが、
この頃とは音楽性がまったく変わってしまいました。
当時の音楽性のほうが好きな方は絶対「買い」で、
最近のジェイウォークが好きと言うファンには、
「初期は、こんな感じの曲を発表していたのか」と、
驚かれる方がいるかもしれません。
今とはまったく違って、パワフルでドラマティックで、
スリリングな音楽をやっていました。
当時のライブでの定番曲が収録されていますが、
個人的には、ジグソー・アフタヌーンが収録されていることに大感激です。
最近ではまったく作っていない、短調で、ドラマティックで、スリリングで切ない曲です。
貴重なインタビュー映像も収録。
■収録曲 ジェイウォーカーI、ジグソー・アフタヌーン、
スタンド・バイ・ミー、ジャスト・ビコーズ、
モーニング・グロウ、ウイ・プレイ・ロックンロール、ジョー
R35 Sweet J-Ballads
「もう一度、妻を口説こう。」ふたりのスイートテンCD…
まずこのコピーにやられましたね〜ジャケットの。
そしてさっと収録曲を見渡して、何の迷いもなく買って。
いいですね〜16曲、どれもが直球勝負、16曲どれもが
私にだってあったあの頃を思い出させます。
なんというか…オーバー50でも十二分に楽しめまる選曲。
もう口説かれる年じゃないけれど、でも、心のオアシスを、
このCDに求めるくらいはいいんじゃないの…
と聞きほれていたら、22歳の息子も横で「お〜!」。
彼のカラオケの持ち歌が何曲もあるらしい。
そうか!こういう中から、何年後かの「懐かしのメロディ」
がうまれるのね。と新しい発見。
良い歌は時代を超えても良い!それは変わらないのよ…
こういうCDどんどん出てきて欲しいなぁ。
企画に大拍手の一枚でした。
WE ARE +FINAL BEST
ジャケットが完全に「遺影」な件。
ジョン・レノンや清志郎のように、本人はいなくなっても生き続ける音楽がある一方、
本人はちゃんと生きているのに、音楽は死んでしまう、ということもある。
ファン、というよりヲタのご機嫌取りばかり繰り返して、
己の表現に責任を持たなかったバンドのさびしい最期。
弔問客のはけた後、ひっそりと枕元で故人を偲ぶ。
そんな気分で聴き入るのがもっとも似合うかもしれません。
JAYWALK SUPER BEST
ミディアムロックの骨太さと、爽やかでセンチメンタルな旋律が同居する楽曲たち。一方知久氏の紡ぐ歌詞は決して粗暴さを見せません。分別を知る男の背中で、悲哀の行間や男らしさを描きます。それを実感として吹かせるのが中村氏の紳士的な美声ですね。ことばや風景の色温度を誠実に伝えてくるようです。大人の恋や、男親としての姿など、JAYWALKの音楽は大人にこそ染みてくる景色があるのです。
この中村氏の歌声は本当に素晴らしく感じています。驕りのない非常に実直な音色でありながら、それゆえのジェントリーなセクシーさも備える歌声だからです。またしゃがれた表情にはブルース・スプリングスティーンにも見合う雄々しさをも持ち合わせつつ、しかし力で解決してしまう音楽は鳴らさず、静かな確信と気迫で心を動かす歌声表現です。そして、やはりどこかに切なさや儚さを抱えた男の心象を伝える奏で方なんですよね。
まるでそれは、男というものを成す様々な要素を分解してゆき、最後に残った男の優しさそのもののような、品のある深い声です。また一方では様々な酸いも甘いも経験してきた説得力や、落ち着いた眼差しを感じさせる声だと思うのです。だからでしょうか、齢を重ねた今こんなにも心の奥のほうに中村氏の声とことばが届くのは。
歌声にばかり割いてしまいましたが、アーシーなロックサウンドの雄々しさ、メロディの切なさ、そして信義を裏切らない歌詞と歌声、JAYWALKはバンド全体から伝わる誠実な歌心が本当に素敵です。