泪坂 (光文社文庫)
倉阪鬼一郎と言えば、かなり読者を選ぶ作家ですが、
本書は人情話という彼らしくない題材に挑戦していて、
いつもの癖がない分、すっと読めます。
一応の仕掛けはあるのですが、それよりも彼がこういった小説を
書いたことに驚きました。
凶鳥の黒影 中井英夫へ捧げるオマージュ
ぐっときてしまうわけですが。
恩田陸、笠井潔、菊池秀行、北村薫、長野まゆみ、三浦しをん、山田正紀(敬称略)の七人はエッセイ、他の方々が短編を書かれています。
この中に誰か一人でも好きな作家がいるなら、読んで損はないと思います。
中井作品がまさに〈永遠の呪縛〉たりえることがうかがえる本でした。
人生の一椀 小料理のどか屋 人情帖 (二見時代小説文庫)
最近、料理人が主人公の時代物が、数多く刊行されている気がする
流行っているのかな
本作は、脱藩した元武士の料理人が主人公
連作短編5本を収録
タイトルが示す通り
その人にとって、人生の一杯となる料理にまつわる話が描かれる
例えば、1話では人生の最後を迎えようとしている老人の為に
彼が子供の頃母親が作ってくれた蛤汁を再現しようと苦心します
また、お客さんの心をうつような料理の創作にも務めます
俳人でもある著者らしく
各話の終盤で俳句が詠まれる場面があり
話を盛り上げます
活字狂想曲 (幻冬舎文庫)
校正とは縁の深い職業なので、ジャケットで思わず購入。
内容は毒があるけど、うんうん全くその通り! っていうなんか
自分の代わりにはっきりと言ってくれてる気がしてしまう内容。
校正という仕事、印刷業界が垣間見られるエッセイだと思います。
読んですっきりしてしまう一冊。