青年王と真白き花嫁~竜の孵る日~ (さらさ文庫)
大国バール王国のとある事情により世継ぎが必要となったため、若き国王アレクシスの意向によりオルグランの姫レティシアを妃として迎える事になるのですが、この二人は幼少期に鮮烈な出会いを果たしています。アレクは自分をブチのめした(高笑い付き)美少女をずっと胸に住まわせて来ました。僅か8歳で王位に就いた彼にとっては、心の支えにして来た初恋の人です。一方シアは気性の激しい生意気な少年との再戦の約束を楽しみに、鍛錬の日々を送って来ました。そんな2人が10年振りに政略結婚の相手として再会するところから物語は始まります。天竜の卵であるヴァイとの約束を守り、彼の存在を誰からも秘するシアと、失われた卵を探し続けるアレク、そして卵の力を欲する魔女の暗躍を軸に話は進んで行きます。その中で、シアが感情表現の下手なアレクの不器用な優しさに触れて行く内に、徐々に恋情を募らせて行く様と、快活で純真なシアへの、優しいけれど甘いだけはないアレクの想いが様々な場面で丁寧に描かれているので、私的には満足出来たラノベでした。登場人物も悪役の魔女を除いて(当り前だけど)皆さん健全でいらっしゃいます。恋愛模様もこの手の本にしては2人とも年齢相応で、ちゃんと青春しています。情動を抑え込もうと、月夜の中庭をモンモンしながらフラフラ歩き回るアレクの姿はカワイイなぁ。18歳の青年らしくてGOOD!ヴァイについては子供口調と素直さから、まあ絶対に「破滅を呼ぶ竜」にはならないよね、って思ってましたら案の定。つーか、表紙でバレバレじゃん。
魔法先生ネギま! 麻帆良学園中等部2-A 「11月:武道四天王」 静かなる想い、行け、あなたに。
今まで発売されたネギま!?のCDの中でもカッコよくってとてもいいです。中でも古菲の声(田中葉月さん)がかわいくっていいです。
僕のなかの壊れていない部分 (光文社文庫)
本屋で見つけて、帯に書いてある『人を愛するということを一度、心から疑ってみて欲しい』という言葉に惹かれて、買いました。
当時落ち込んでいた自分の気持ちと共鳴するように、初めから、主人公『僕』の言動に深く心を動かされました。
落ち着いてる時に読むと、「なんて厭なやつだ。」「ムカつくなぁ」と思う言動をする主人公ですが、読み進むうちに、なぜ『僕』がそのような言動をするのかが理解できるようになる。そして、そんな生き方をして、苦しんでいる人間がきっとこの世の中にいるんだろうな・・と思ってしまうようなリアリティある作品。
主人公の考え・独白を通して、『生きること』、『愛すること』、『家族』、『現代社会』について、深く、強く考えさせられます。また、主人公の迷いや問いかけによって、読者自身も自然と考えることに引き込まれ、作中の文章や『僕』の言葉を真摯に受け止め、自分なりに考えるように心を揺さぶられます(賛同するかどうかはまた別)。
私にはとても意味深い本で、これ以降、白石一文さんのファンになりました。
人生に迷った時、よくわからなくなった時、この本を読み返しながら、いろいろと物思いに耽ります。平常心で、万事うまくいっているときに読んだら、前述したように、気分を害するかもしれません。。。
一瞬の光 (角川文庫)
白石一文の「一瞬の光」は「男性主義」や「エリートの鼻持ちならぬ自慢話」、「かっこつけのナルシストの話」などと批判されることがある。また肯定的な意見の中にも、お涙頂戴の「ケータイ小説的な感動」を評価するものもある。しかし、いうまでもなく、それらは誤解だ。作者は、世間的な価値観(ルックスや、学歴、家柄など)や男性的な本能(暴力性や性欲など)などから解き離れたところに生の充実があり、そういう充実感の中でこそ幸せな恋愛ができ、豊かな人間関係が築けるということを言おうとしている。これは全著作で一貫している。橋田をイケメン、高学歴、高IQ、エリートに設定したのも、瑠衣のような女性を登場させたのも、そういう世間的な価値観が人生の充実にそれほど関係がない、ということを説得力を持って読者に伝えるための道具に過ぎない。そしてこれがストーリーの軸だが、「そんな世間的な価値観を追い求める結果、虚無感に陥った人間(橋田)がどのようにその状態から抜け出していくか。」ということを橋田という主人公を使って、考えていく。そして考えるヒントが作中に散りばめられている。これは一流の思想書である。決してハードボイルド小説やケータイ小説ではない。
森は海の恋人 (文春文庫)
1994年に北斗出版から出た単行本の文庫化。
著者は漁師。しかし、海の魚介類は、そこに流れ込む川、さらに水源の山々によって育てられていることを発見し、山を守ることが魚をつくるのだという運動を開始・成功させた人物。
その主張は『リアスの海辺から』で分かりやすくまとめられているのだが、本書はそのプロトタイプに当たる本。
各所に発表した短文をまとめた本のようで、海での漁、獲れる魚や貝のこと、山の人たちとの交流などがテーマとなっている。
楽しくおもしろいが、著者の主張を知るのには、ちょっとまとまりがないか。