リスボンの小さな死〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
歴史的な時間軸を取り入れた構成は叙事詩的な爽快感がある。だが、この本の魅力は、必ずしも物語性やプロットの妙といったところにだけあるわけではない。まるで映画を観るように、登場人物たちの姿をまざまざと思い描くことができるのだ。それは、彼らの行動だけにとどまらない。作者の心理描写は、まるで人物と相手との距離感までがつかめるように、息づかいといったものをもっている。頬を合わせる挨拶は西欧の習慣だが、そんな小さなシーンにさえ、自然に反応できる。自分に娘がいて、今この状況なら、きっと身体が勝手に動いて思わずそうしているだろうと思える。人物たちが小説の中だけの謎めいた存在として過ぎ去って、どこにいるのかも判然としないような、ミステリー特有のあの読後感がまったくなかった。
クラシックの殿堂
静かな曲、激しい曲、有名な曲、無名の曲、それぞれが何の脈絡もなく2枚のディスクに盛り込まれています。38曲も入っていれば当然知らない曲が幾つかあるので、添付された曲ごとの簡単な解説本が役に立ちます。
クラシック音楽の「よく聞く部分」だけを楽しみたい人には適していると思います。
目当ての曲を聴くために購入したら、別の曲が気に入る、というオムニバスのいいところを堪能できるはずです。
アインダ~リスボン・ストーリー 映画「リスボン物語」サウンドトラック
ポルトガルと言えばファド、ファドと言えばアマリア・ロドリゲスが有名だが、よく知らないし、好きな方ではない(唯一 Alfred Marceneiro だけは例外なのだが)。また、伝統音楽の範疇だろう。最近のポルトガルものを知りたかったので、手始めに話題に上ることが多いこのグループのものを入手してみた。
ベースとなる旋律はファドのようだが、少なくとも伝統的ファドの様な感じはまったくしない。楽器はアコーディオンとギターなどのアコーティックが主体であり、キーボードは主に背景音を担当する。ドラムスは無い。
絶え間なく織り重なる伴奏にのせて テレーザ・サルゲイロ ( Teresa Salgueiro )がしっとりと透き通る様な声で歌い上げる。ゆったりと流れる様な独特のサウンドが特徴だ。タンゴの様なテンポが感じられるものも何曲かある。それでも、ビートの利いたロックの様なサウンドとは対極にあると言えよう。特にアコーディオンはこのサウンドに大きく寄与している。
テレーザの声はとても美しく、郷愁と哀愁と侘び寂びがごっちゃになった様な言葉では言い尽くせない、独特の感情が感じられる。これを聴いて心を打たれない人は居ないのではとすら思える。
特に Ainda と Milagre ~ Viagens Interditas は感動的だ。
今まで味わったことが無い感覚を得た。
リスボン物語 [DVD]
ある眠れない夜、深夜番組で面白いものはないかな?と探していたときに、このリスボン物語に出会いました。
淡々と進んでゆく静かな映像がとても印象的でした。悪く言えば退屈、ということになるかもしれません。退屈なのに、なぜか美しい映像に心を奪われて、見続けてしまう、という感じです。それと、この映画で用いられている音楽も、非常に印象的でした。見た後は、とても心が穏やかになる感じでした。
一度見ると、美しい空と海のリスボンをおとずれたくなってしまうと思います。
リスボンの小さな死〈下〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
登場人物の感情や心理が網のようにあらまりあいつつクライマックスへ。ポルトガル滞在に読み始めたのですが、リジュボア近郊が舞台なので風景が目にうかびました。伏線がたくさんあるので、2度読みがお勧めです。
ポルトガルに滞在したことがあって、なおかつ歴史ミステリファンにお勧めします。