パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉 [DVD]
分かりやすさ、も娯楽映画の1つの指標であるならば、前作の精神的で
抽象的な世界観から一転し、本作は登場人物も対立関係も明確で、
難しさもなく、良いといえる。
楽しいことには変わりはないが、ワクワク、ドキドキ指数は確実に減って
いる。可もなく不可もなく、といったところ。
オールアバウト ペネロペ・クルス
映画、「それでも恋するバルセロナ」を見て、ぺネロぺの演技にとても魅力を感じたので、彼女はどんな人なのだろうと興味を持ちこの本を買いました。
スペインでの駆け出しの頃から、ハリウッドで名を挙げるまでの長い道のりが、映画と監督、共演者を通して明らかにされていきます。こんなにも直向きに演技に取り組んできたからこそできた、芸術肌で気性の激しい画家のマリア役。その演技で念願のアカデミー賞を受賞した彼女の笑顔がとても印象的でした。
そしてこの本の一番良いところは、写真がとてもきれいなことです。ドレス姿にしろ、日常のスナップにしろ、セクシーでチャーミング、そしてエレガントな彼女の雰囲気が感じられます。黒髪の女性の美しさを最大限に生かすとこんな風になるんだなぁと改めて気付きました。これからもたくさん良い映画に出演してほしいです。
ボブ・ディランの頭の中 [DVD]
シナリオ執筆者はディラン本人であることが出演者の証言で分かっている。
ツアーを通じて成熟したバンドをバックにした演奏を楽しむのが正解だが、ストーリーも興味深い。
何よりも自分自身を罰を受けるべき罪深い存在と考えていることが重要だ。そして、誰も指摘しないがこのストーリーはジャン・ジュネ『バルコン』の影響下にある(ちなみに、ディランは自伝でジュネ『バルコン』を絶賛している)。
娼館で倒錯の劇が演じられている間にも外では革命の嵐が吹き荒れている、というジャネのストーリーは、テレビ局スタジオに舞台を変えているが、、、、
評価の難しい映画だが、この作品はテレビ放送で楽しむのがストーリー的にも正しいかもしれない。
パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉 ブルーレイ(3枚組/デジタルコピー & e-move付き) [Blu-ray]
パイレーツ第4弾。
ストーリーは「生命の泉」をめぐって繰り広げられる話なんですが、細かい部分を見ると
1作目に似通っている部分が多々あったりします(特にバルボッサの視点で見ると)。
新たな門出となる作品なはずなんですが、むしろ前3部作の後始末的な作品な感じがします。
制作費が前作より下がったためか、前2作に比べると迫力に欠け、落ち着いた作品になったからかもしれません。
制作費もほとんどがデップのギャラと3D撮影のためだと思うので実質は1作目と同等くらいなんではないでしょうか?
やはりウィルとエリザベスが居なくなってしまったのは大きいですね。オーランドとキーラの降板と前作のラストからの展開を
考えると仕方がないとはいえ、やはり寂しいものです。
しかもそれを補うための新キャラクターに正直魅力が感じられないのは痛い。
今回の敵キャラである黒ひげ。実在した人物というだけでかなり期待したんですが、バルボッサやデイヴィ・ジョーンズと比べると
威厳さが乏しいです。正直陸にあがったら普通の人間だなぁ。
アンジェリカもエリザベスをもっと海賊寄りにした程度のキャラクター。ジャックの元恋人ならもっと特徴的でも良かった気がします。
(まぁ美しさは半端ないんすけどね!)
しかし一番残念な部分はシリーズの肝である"アトラクションに乗ったような興奮"が味わえなかった事です。
これは監督変更が一番の理由だと思います。今作で改めてゴア・ヴァービンスキーの手腕の凄さを理解しました。
正直前作2作は話が破状しているなぁ(特に3作目)と感じるのですが、それでも楽しい思いにさせてくれたのは
ゴア監督が見せるところで見せる力を持っていたからだと思います。
けしてロブ・マーシャルが駄目な監督とは思いませんが、ゴア監督の作り上げた最高の娯楽作品を引き継ぐのは、
少し難題だったかもしれません。
あと海賊映画なのに船上での戦いが全く無いのも寂しいなぁ。
あと3D作品としては最低レベルです。ほぼ2Dで十分なレベルです。
ということで自分にとっては残念な結果になってしまいました。
ですが多くを望まなければジャックに再び出会えただけでも嬉しいですし、
前述通りの後始末として観ればそれなりに楽しめます。
本作でようやく本当の意味で、ジャックの手元に'愛しき相手'が戻ってきた、と捉えれば結末としては最高かと。
そして何よりも、バルボッサは今作でも最高にクールな存在なのだ!!
ペネロペ・クルスの抱きしめたい! [DVD]
セレブが大好きで仕方がないという溌剌少女ディアナ。1965年にビートルズがスペイン公演を果たした日に宿泊先のレノンの部屋に忍び込みます。ベルボーイのサンティとディアナはここで偶然出会い、二人の間に恋の炎が燃え上がるのですが、スペイン国王/歌手/銀行家とセレブの飽くなき追っかけを続けるディアナにとって貧しいサンティとの結婚は選択肢にありません。奔放なディアナに振り回され、不倫関係を続ける気弱なサンティ。いつしか二人の間に30年もの月日が流れ…。
ペネロペは映画の前半にしか出ません。ビートルズはディアナの好きなセレブの一部でしかありません。それでも日本ではタイトルにペネロペを押し出し、ビートルズの追っかけ物語であるかのごとく針小棒大な売り文句を付しています。人びとに誤った印象を与えようかとするこの「売らんかな」の態度はビートルズ・ファンの目には許しがたいものと映ることでしょう。ファンのお怒りはごもっとも。ビートルズ映画と思って見てしまった方々の心中を察します。
ではこの映画は多くの日本人に宣伝の妙で売りつけるような底の浅い物語かというとさにあらず、です。実のところこれはなかなか底堅い大人の恋愛コメディなのです。お金と名声を持つ男を次々と30年に渡って追い続ける女と、妻へのうしろめたさをかかえながらもどうにも彼女を忘れられず「都合のいい男」を続ける男。原題は「恋はとっても体に毒」といいますが、抑えのきかない恋に翻弄される中年男女の心の機微をうがつ、そんな作品なのです。
レノンの訃報に接する二人の姿に特に心打たれる思いがしました。ディアナとサンティはこの日、二人が初めて会ったホテルで当時の想い出にふけるのですが、二人の間に横たわる積年の想い出が見る側の眼前に一気に溢れ出し、男女の切ない思いにほろりとさせられました。
哀しく可笑しい大人向けの物語として、十分堪能できる一本です。