ジョー・ザヴィヌル&ウェザー・アップデイト [DVD]
20年を経過して後、ようやく”オフィシャルな”形でマーケットに出たウェザー・アップデイト。音のみならず映像付き(DVD)とは・・・時代は流れたのですね(^^;
'70sのフュージョン・シーンを牽引してきたウェザー・レポートも時代の波には勝てず'80s半ばに活動を停止する訳ですが、ジョー・サビヌル氏(key)はその制作意欲を失うことなくこのウェザー・アップデイトを結成してノンストップで動き出す訳です(その後、サビヌル・シンジケートへと発展的解消となるのはご承知のとおり)。非常に短命(というか、J.ザビヌル氏はこれをパーマネントにするつもりは無かった?)訳ですが、それ故に何としてもウェザー・アップデイトを見たい/聴きたいファンが居るのも事実です。
ウェザー・レポートからの付き合いになるピーター・アースキン(ds)、ヴィクター・ベイリー(b)に加え、gにはスティーブ・カーンを登用(何でも、当初はジョン・スコフィールドに声をかけたのだとか。しかしフラれてしまい?S.カーン氏に白羽の矢が立ったというのが事の顛末)。
楽曲そのものは、サビヌル・シンジケートへの布石となるJ.サビヌル氏のソロ作およびウェザー・レポート最後期の”This is This”からの選曲となっています。残念ながらこの日の全演奏曲が収められている訳ではなく、S.カーン氏から頂いたメールでは、少なくとも2曲(何れもS.カーン氏はお気に入りだったとか)はオミットされているのだとか。
それでも、楽曲はもとより、動くS.カーン氏が見られるという”一点買い”で入手した私のような輩(^^;には十分おつりのくるものではあります。
こうして映像で見ると、J.サビヌル氏が全てを仕切る指揮官、P.アースキンがさしづめ名参謀といった具合で、演奏以上にこの両者のアイ・コンタクトに惹きつけられます。
#途中、「ちょっとやっとけ。ワシ、エンジニアと話さんといかんさかい・・・」的
#な動作でJ.サビヌルさんがキーボードから離れるシーンも映っていたり。
#くぅ〜カックイー(^^;
多分、オフィシャルにならないだけで、この手のフュージョン末期のいろいろな意味で興味深い音源(含む映像)はまだまだあるのだとは思いますが、何とか陽の目をみられるようにしてもらいたいものです。
蛇足話:
それにしてもオーディエンスの反応が・・・。ある意味、グループ(=J.サビヌル氏の頭の中にあったイメージ)の斬新さに戸惑っている様子がありありと判ります(^^;
Tei molo
2010年のフジロックフェスでは苗場。
音とリズムに導かれてステージへ立ち、1ミリもひかず、
会場を興奮に巻き込んだAnyango。
2011年、3rdアルバムを引っ提げて私たちの前に戻ってきてくれたAnyango。
フランスとカメルーンの2カ国でレコーディングされたアルバムは
日本とケニアとそれらの国をつなぐ音とエネルギーの架け橋にきっとなるはずだ。
凄いぞ! Anyango!
JOE ZAWINUL on the creative process―ウェザー・リポートの真実
この著者が雑誌記者時代にザヴィヌルから直接楽譜を借りて音を出し、ショックで熱が出たというエピソード、その掲載誌を読んだクチである。実は同じような体験でジョー・パスの教則本を片手にギターを弾き、自分も背筋が寒くなった覚えがある。とてもヘンな指使いなのに出て来るのはゴージャスなコード。世の中には凄いことを思いつく人がいるのだな、と。
それを永年のテーマで持ち続け、ほとんど執念でその体験の続きを実現させ、しかもこれだけの本にまとめあげること、これは編集者としては恐らく究極の夢ではないかと思う。ここに公開されたザヴィヌルの手書き譜は、まさに世界中のファンの宝、そして歴史のダーク・ゾーンを世の中に明らかにする壮挙といっていい。私も本文に目もくれずさっそく汚い字を頼りに(笑)ヴォイシングを再現すると叩く和音1発1発が当たり前だがウェザー・リポートのサウンドなのである。これにはたまげた。それをまだウェザーが存在する20年近く前に体験した著者の心境はいかばかりであったろうか。例えが悪いが核ミサイルの発射ボタンに触ったような感触だったのではないか。
ザヴィヌルの存在の大きさについては、今更論ずる必要も余地もない。ウェザーよりはマイルスとのコラボレーションの中から生じる謎の方が私には重大な関心がある。「ファラオズ・ダンス」はイメージはザヴィヌルの伝記で知ってはいたが、こうして楽譜で表現されると強力なインパクトがある。ちょっとだけ、自分のバンドでカバーしようかな、などと軽い気持ちでいたが本書で言われている通り、シンプルに聴こえるものが実は複雑なハーモニーでできていた。これはその通りに演奏はできてもとても「スタンダード」ナンバーのようには扱えない。まさしくザヴィヌルの音楽である。
この本についての断を下すつもりは全くない。ただひたすら、ザヴィヌルの思考のかなりの部分を、日本語で届けてくれた功績に対して謹んで星5を献上する。
75~ラスト・バースデイ・ライヴ! [DVD]
ザヴィヌルはウェザーリポート後は、ジャズというより
ワールドミュージックに近いものになった。そのためか、
いまいちウェザーリポートの延長・オマケとしてみられがち。
でも、そんなこたあどうでもいい。マイルスと同様、最後の
最後まで進化をしていた音楽家であった。そんな爺に感動。
全曲秀逸の一品だが、「ZANZA'U」とショーターとの共演
「IN A SILENT WAY」がたまらない。