フジ子・ヘミングの奇蹟~リスト&ショパン名演集~
「世界一のリスト弾き」の評判は、決して過大評価ではないようです。ラ・カンパネラ以外はパッとしない、退屈な曲が多いリストの作品群。フジ子の手にかかると、こんなにもドラマチックに情感豊かに聞こえるのか・・・と、価値観すら覆されるのです。
ディスク2には、ドイツSWR放送局にラジオ出演した際の音源(1988年録音)が2曲収録されています。特にこちらの「ラ・カンパネラ」が素晴らしく、ディスク1と聴き比べてみても違いが明白です。この1曲だけのために、このCDを買っても損はないと思います。
7曲目の「ます」から8曲目の「ノクターン第1番」へ、リストからショパンへのバトンタッチにどうしても違和感があり残念です。この違和感はサラッと聞き流すことができません。「ショパン作品集」「リスト作品集」として、別々にリリースされたほうが聴きやすいと思います。「世界一のリスト」を聴いた後では、「並みのショパン」に聴こえてしまいますし。そこそこのスピーカーで聴くと、「ショパン作品は録音環境が悪いのかな~」と疑ってしまうほど、キレがないぼんやりした演奏に聴こえます。
フジ子・ヘミングとウィーンの仲間たち/サントリー・ホール・ライヴ [DVD]
衝撃的な 出会いだ これはもう右手と左手で 弾いている音ではない
とくに最初の曲は 涙がちょちょぎれるほどだった。
普段はクラッシクなんて 聞かないんですが これはかなり衝撃的だった。久しぶりに出会ったいい音です。最初の曲だけでも 一見の価値あり。
奇蹟のカンパネラ
とにかくピアノの音が好きで自ら職業にしている為、いろんな演奏家のCDを聴いたりコンサートへ足を運んでいますが、この方の音楽には心を揺さぶられる気がします。
技巧だけで言えば他にも優れた演奏者がいるかもしれない。ドラマの影響だけで盲目的に賛美するのはどうかとも思う。逆にそれだけで反発するのも勿体無い気がする。
けれどこのCDに収録されているカンパネラは聴いていると純粋に感動しました。技術面は時々不安定なところもありますが、それを上回る表現力と迫力は本当に素晴らしいと思います。
クラシック自体やリストなどの技巧派に馴染みのない方に興味を持っていただける秀作だと思います。
フジ子・ヘミング、パリからの風-素敵なモンマルトルの部屋、そしてパリで描いた初めての絵本“紙のピアノ物語”- [DVD]
フジ子・ヘミングの日常を記録したDVDです。
彼女を有名にしたNHKのドキュメンタリーほどインパクトはありませんが、ひょうひょうとした彼女の生活が音楽と共に楽しめます。
紙のピアノ物語という絵本がカップリングされていますが、おまけ程度に見た方が良いかもしれません。
家人も彼女が好きで、ときどきこのDVDも見ているようです、っていうかBGVとして楽しんでいるようです。
猫を愛する少女のような彼女に星5つです。
Fuzjko
フジコさんの持ち味といえばこれまで、もつれた糸をほどいていくような、失礼な言い方になってしまいますが、その時の感情を吐露して弾いているようなところ、たとえば「ラ・カンパネラ」などが、危なかったしさをともなった魅力となっていたように思えて、わたしは心の伴わないテクニックだけの演奏をするピアニストには、聴いていて巧(うま)いなとは思っても、ただそれだけだったのです。そんな中でフジコさんは、その一瞬にすべてを捧げてピアノを弾いているところがとても好きで魅了されていました。
このアルバムには、もう、不安定なタッチのフジコさんはいません。どの曲もフジコさんのレパートリーではよく知られたものばかりですが、音色が全然違う、フジコさんは自信がなかたったそうですが、失礼な言い方になってしまうかもしれませんが、一皮むけたような印象を持ちました。これからの活躍に期待しています。