BROTHER [VHS]
劇場ロードショーで見た時は、
『ソナチネ』『キッズリターン』レベルを期待してしまったので、
かなりがっくりきました。
これでもう終わりだ、くらいに思いました。
でも2010年にテレビの深夜放送で見た時は、
切腹・指つめなどの残酷シーンはすべて省略され、
そのカットが案外うまくいっていて、
北野作品ならではのリズム感や、トーン、
なんともいえない画面の気配が色濃く漂いだし、
これもすごい映画だと思いました。
最初見た時は、刺激的なシーンばかりが印象に残りましたが、
2回目見ると、ビルの屋上から紙飛行機を飛ばして
それが落下していく様を1カットで撮っていたり、
撃った弾丸の薬莢が床に落ちる音までも響く様など
北野美学が生きていることを実感。
彼らがアジトにする壊れかけた倉庫のような建物、
砂浜でのふざけ、「腹が痛くてタバコが吸えない」などは
ストレートに『ソナチネ』そのままですし。
屋上の柵に持たれた主人公を後ろから撮ったショットは、
眼下の町がまるでヨーロッパみたいに見えた。
いつかヨーロッパ(パリとか)を舞台に、映画を撮ってほしい。
たぶんぴったり合うと思う。
超思考
北野武さんが2007年10月〜を2010年12月まで連載したいた「劇薬」を編集したもの。
本を開けると本文中の極端な意見・・・・とあったので少し期待して読んだ。
しかし語られているのはいつも通りのビートたけしでした。
本書以外のたけしさんの本を読んでいれば、ああ本質的に同じことを本書でも主張しているのだなと
実感できます。
いつもどこかで己を客観的に見つめれるもう一人の自分を持つこと。
大切な事をいくつも見つけることができるでしょう。
なぜ、はたらくのか―94歳・女性理容師の遺言
Amazon Vine 先取りプログラム™ メンバーによるカスタマーレビュー (詳しくはこちら)
いい本でした。解りやすい平易な言葉で、淡々と語られていた。
その辺のビジネス書より、よほどいい。
解りにくいものをありがたがって読ませて、解らないまま終わる
ビジネス書や研修よりも、よほどいい時間を過ごせる。
学校や、社員研修のなかで、読書感想文を書かせるときの
読む本リストに加えたい、加えるべき一冊だと思った。
ソナチネ [DVD]
ひたすら迫ってくる空虚感と風景の美しさが印象に残っています。中でも、たけしの放つ虚無感が際立っていますね。何か起こっても無反応かつ無感情で、見過ごすだけです。
こんなにも空虚感を抱く映画は初めて観ました。こんなにも感想を発することが難しい映画も。
普段聞こえのいいことばかりを聞かされて育ってきましたが、現実の不条理な壁にぶち当たった時に受けるショックとダメージは想定がほとんどない分、大きかったです。
下手なカタルシスは、現実と離れすぎていると幻滅してしまいます。そういう意味では本作はカタルシスが全くなく、非常に爽快でした。
こんなに人が死んで空虚感ばかりが増す一方なのに、不思議と絶望感は抱きませんでした。
虚しくて、苦しくもあるのに見終わった後、気持ちがいい。本当にすごい映画だと思います。