雨ニモマケズ
文章に目を通しただけで曲が浮かんでくるという体質のシンガーソングライター宇佐元恭一は、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」と出会ってしまいました。出来上がったその歌はやがて、新潟県中越地震の被災地で歌われるようになりました。宇佐元が歌うその歌を聴いた人たちから「CDはないのですか?」という質問が続くようになっていましたが、当時の宇佐元には著作権などをどうすればいいのかがわからず、ごめんねと頭を下げ続け、CDを自費で2千枚だけプレスして配っていた時期もあったそうです。それを聞きつけた南こうせつが著作権などをクリアしてくれたおかげでようやく一般発売されることになったこの歌は、今また必要とする人々がいるところで歌い継がれていくことになりました。
この歌を聴いた人々の心に、どうか暖かな光が差しますように。
STAY HERE(+2)
電話のベル、車の急ブレーキ、拍手。明日は解らない僕ですからはイントロからノリノリ。元気もらいました。ジャケットがカッコいい♪おもわず拡大して覗いちゃったくらいハマッタです。
2nd
CHAGEのソロアルバム。非常に充実しています。
1の音響系のあと、先ず名曲2「トウキョータワー」の歌い方がとても素敵です。ビブラートが抑えられニュートラルでまっすぐすーっと伸びてゆくこえ。何か落ち着いた心境がそのカナリア声に感じられ、坦々と情景描写を映したときのワンカットが非常に切なくなるのです。ヴォーカリストとして成熟した季節にあることを窺えます。
一方作品は楽曲・サウンドデザインが凄くいい。POPS味を失わずしかし彼らしいソリッドなロックで彩られています。ミディアムな心地よさから烈しい高揚まで携えた楽曲たち。思わずナニこの一曲一曲の珠玉さは、このメロディメーカーぶりは!と驚いてしまいました。顧みればこの頃の『no doubt』や『NOT AT ALL』のC&A作品では、彼の楽曲のクールさが作品をボトムアップさせていたことも思い出させます。どうやらこの頃のCHAGEはクリエイターとしてもひとつの充実期を迎えていたのかもしれません。とにかく、一曲たりとも隙がなくずっとカッコイイ、凝ったサウンドのプロデュースが展開されてゆくのです。
今作でも聴き所の4「〔7〕」でロックをかき鳴らした後、5「TRANCE⇔ENTRANCE」のサイケデリックさは彼の真骨頂である、濡れた囁き声のミステリアス楽曲。こういう面白さが彼特有の聴き所だと思います。続く6「UNDO」なんかもボーイ・ジョージばりの妖艶なロック。こういうアヤシイ声とアヤシイ曲調が織り成す、マーベリング画法のような世界をみせられる感覚は他では中々見当たらないです。もっとこの才能をアングラカルチャーに放り込んでみたいものです。
他方7「MR.LIVERPOOL」のようにシンプルで気持ちのいい憧憬のポップスや、フォーク時代のような哀愁を詞の行間と旋律に潜ませた9「12色のクレヨン」も持ち合わせます。どちらもいい曲で淡い情景がとても美しいですよ。
10の清々しいミディアムサウンドは主人公の穏やかな真情を感じさせるようで、愛の実感の充実が音楽に溢れています。特別盛り上げるわけじゃなく日常の中で坦々と育まれてゆくような喜びが、最後に気持ちのいい締めかたでした。
とにかく面白いです。才能のバラエティをみるような作品。『CHAGE BEST SONGS ~PROLOGUE』のときもそうでしたがいやあCHAGEスゴイ。CHAGEを知らない人にこんな凄かったのといわせたいなと思いました。C&Aでももっと冒険してくださいな。因みに隠しトラックではあの曲のリメイクが!ええこのロック、カッコヨスギです!